サイバータックス・ジャパンの使命について石村代表に聞く

〜Part 1〜
ねらいの一つはネット社会に即応したコンピュータ
税務に関する研究、実務情報の発信

(辻村)  日本サイバー税務研究機構(サイバータックス・ジャパン)をつくり、インターネットを使ったコンピュータ税務に関する研究、実務情報サービスの提供を始められたねらいについてお話ください。
(石村)  サイバータックス・ジャパンのネット会員の皆様方へのご挨拶かたがた、この研究機構についてお話をしたいと思います。
 サイバータックス・ジャパンは、IT時代におけるE‐Tax(電脳税務)のシンクタンクとして活動することをねらいとしたNPO(非営利組織)です。あくまでも「国民・納税者が主役」の視点で研究、実務情報の提供を考えております。
(辻村)  「国民・納税者が主役」の視点ということですが、もう少し具体的にお話を願いたいのですが。
(石村)  長年にわたり税金について発言してまいりました。これだけIT革命だ、規制撤廃だ、と騒がれていながら、税務サービスの分野では、いまだ「国民・納税者の顔」が見えてこないわけです。
 一例をあげて見ましょう。さる4月19日に、国税庁の国税審議官主催の「申告手続の電子化等に関する研究会」が検討結果を取りまとめ、報告書「望ましい電子申告制度の在り方について」を公表しました(www.nta.go.jp/taxinfo/topic/h12/o07/01.htm)。しかし、ここでも、見えてくるのは課税庁と税理士の顔だけです。関与税理士のいない一般納税者には開かれた仕組みになっていません。
(辻村)  それでは、どういった仕組みになればいいのでしょうか。
(石村)  仕組みはいろいろ考えられます。問題は、この研究会においては、電子申告制度の創設にあたり、「政府(行政)」と「市場」とをどのように機能分担させれば、「国民・納税者」にとり"最適"なのかについて、ほとんど議論がなされていないことです。現行の法制の枠内で、課税庁(行政)とその補完組織の税理士界とで、"電子申告"というパイをうまく分け合うといった程度の認識で、報告書がまとめられています。一般納税者にも開かれた制度作りを目指すとすれば、一部にしろ、電子申告は「市場」に機能を分担させざるを得ないのではないでしょうか。「市場は信頼できない。政府規制の枠から出て議論はできない」では、開かれた制度作りは難しいわけです。
(辻村)  何が原因でこうなってしまうのでしょうか。
(石村)  一つは、国民・納税者が手軽に発言できるチャンネルをもっていない、ということがあるでしょう。そして、もう一つは、これだけ政府規制の見直しが叫ばれていながらも、相変わらずの"役所おまかせコース"あるいは"役人への丸投げ"といった"役所社会主義"がまかり通っている、という現実でしょう。
(辻村)  つまり、本来、主役であるべき国民・納税者が、行政に全面的に依存し、自立した存在としての意識を十分に持っていないということでしょうか。
(石村)  そうともいえます。見方を換えると、国民は必ずしも厳しい市場競争を基本とした、本当の意味での資本主義を望んでいないということでしょう。税界も一般に、役所に依存した今のムラ社会に安住したい、ということではないでしょうか。
(辻村)  安住できればいいのですが、その可能性は極めて低いから問題なわけですね。グローバリゼーションとIT革命の大波をもろに受けて、このままでは、沈没しかねないわけですね。金融や証券などを見ても分かるように、役所が最後まで面倒を見てくれる可能性は極めて低いと見なければなりませんね。
(石村)  そうです。自助努力で、100年は持つ税理士制度、「国民・納税者」に開かれた民間の税務支援サービスを確立するように求められています。このためには、正論を発信していかなければなりません。インターネットを使えば、正論の発信・提供は極めて容易です。まさに、コンピュタックス・ジャパンの目指すところの一つです。


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