日本経済新聞(日経)8月10日記事は、「医師の6割が高齢者医療費の窓口負担拡大を必要と考える」と報じた。核心は、高齢者の1割負担・2割負担が、公費と現役世代の重い負担になっている点である。一部ポピュリスト政党は、「高齢者が医療費を爆食いしている」と強調し、社会保険負担を高齢者に振り向ければ「手取りが増える」と煽る。
国民を大事する多くの先進諸国では、社会保障の多くが「税方式」である。これに対して、日本は「社会保険方式」である。この方式が社会保険負担を高くする根源である。にもかかわらず、ピュリスト政党はこの根源問題を避ける。示すのは「手取りを増やす」といった小手先の対応だけである。「どんとこい、税方式」と唱えない。小市民的で、小者の処世術。
いずれにしろ、過剰医療の原因は医師、医療機関側にもある。過剰な検査がある。目に余る重複検査もある。異論を唱えにくい患者を事実上人質にする医療機関も少なくない。ムダな検査を防ぐチェック機能は、現行制度では緩いままである。マイナ健康保険証が役立っているようには見えない。
レセプト審査を担う支払基金と国保連の刷新は急務である。あるいは、ムダな検査にストップをかけられる患者主導の新機関が必要である。目安箱を設け、患者や内部者からの駆け込み救済(苦情)を簡素・透明に処理する仕組みが要る。
現行のレセプト審査には患者代表が入っていない。委員は医療側・保険者側・学識経験者の三者構成である。抽選で選ばれた患者代表・一般市民代表・被保険者代表を加えるべきである。
日経は近視眼的になってはならない。患者側に立ち、診療内容の一つである過剰検査にメスを入れる新機関の設置を提案すべきである。国民負担増は当り前で、余りにも企業・事業者寄りの姿勢を強めれば、いずれは読者の不読の反乱に遭遇しかねない。
8日、同日の記事は、高市政権の「食料品消費減税について賛成41%、反対37%」と報じた。社説は食料品消費減税に反対の姿勢を示した。以前の記事では、学者の多くが食料品消費減税に懐疑的であると紹介していた。こうした一連の記事は社論誘導的で、支える統計には怪しさも伴う。
確かに減税財源問題は重要である。しかし、政党と政治家の選挙公約は重い。高市政権は消費税食料品ゼロを掲げて大勝した。野党の多くも、食料品ゼロや消費税廃止を公約に掲げた。今さら彼らが「消費減税反対」に転じることは許されまい。次の選挙で、「反対」を公約としたら、存続が至難になるのではないか。
政府は、2年間の時限措置として食料品消費税を1%とし、その財源で所得連動給付を導入【実質0に】するとしている。2年後には税率を8%に戻し、勤労を条件とし、税制を通じて給付する「給付(還付)つき税額控除(EITC)」を導入するとしている。この制度設計、とりわけEITC導入、には大きな疑問符がつく。
AIによる雇用崩壊は深刻化している。生成AIやフィジカルAI/ロボットの代替で、働きたくても働けない人が急増することは必至である。AI雇用崩壊には、勤労を条件としない、簡素な最低所得保障制度(UBI/ユニバーサル・ベーシックインカム)で対応する時代に入っている。アメリカなどでも多くの識者や企業家、政治家が、EITCからUBIへの転換を訴えている。逆に、働いても生活を苦しい層だけを保護するEITCは、「分断」、「差別」の助長につながりかねない。
事実、UBIの方が、明らかに「人権」ファーストにもつながる。ユニバーサル(皆)給付は、高所得者優遇につながり「公平」でないとする主張もある。しかし、UBIは課税対象とし、免税点を設けたうえで、超過累進税率で課税すれば、問題は解決する。
勤労を条件とし、還付申告をした者に給付するEITCは、AI雇用崩壊が迫るなか、明らかに時代錯誤である。それに、日本では勤労所得者の多くが年末調整で済む。働いても生活が苦しい人たちは、仕事を掛け持ちしているケースも多い。こうした人たちの税務申告を求め、僅かばかりの金銭を給付する仕組みは「簡素」とは言えない。直接給付の方が、コスト効率が格段によい。EITCは、税制は「公平」であるとともに、「効率」・「簡素」でないといけないとする租税原則と衝突する。
日経はAIの急速な進化を連日報じている。にもかかわらず、勤労を条件とするEITC導入を頑なに主張している。こうした議論を主導するミスト氏には、早期の退場を望みたい。
リアル・マスメディアのフェイク、偏り(かたより)を糺す(ただす)のも、ネットメディアの重要な使命の1つである。
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日本経済新聞(日経)8月10日記事は、「医師の6割が高齢者医療費の窓口負担拡大を必要と考える」と報じた。核心は、高齢者の1割負担・2割負担が、公費と現役世代の重い負担になっている点である。一部ポピュリスト政党は、「高齢者が医療費を爆食いしている」と強調し、社会保険負担を高齢者に振り向ければ「手取りが増える」と煽る。
国民を大事する多くの先進諸国では、社会保障の多くが「税方式」である。これに対して、日本は「社会保険方式」である。この方式が社会保険負担を高くする根源である。にもかかわらず、ピュリスト政党はこの根源問題を避ける。示すのは「手取りを増やす」といった小手先の対応だけである。「どんとこい、税方式」と唱えない。小市民的で、小者の処世術。
いずれにしろ、過剰医療の原因は医師、医療機関側にもある。過剰な検査がある。目に余る重複検査もある。異論を唱えにくい患者を事実上人質にする医療機関も少なくない。ムダな検査を防ぐチェック機能は、現行制度では緩いままである。マイナ健康保険証が役立っているようには見えない。
レセプト審査を担う支払基金と国保連の刷新は急務である。あるいは、ムダな検査にストップをかけられる患者主導の新機関が必要である。目安箱を設け、患者や内部者からの駆け込み救済(苦情)を簡素・透明に処理する仕組みが要る。
現行のレセプト審査には患者代表が入っていない。委員は医療側・保険者側・学識経験者の三者構成である。抽選で選ばれた患者代表・一般市民代表・被保険者代表を加えるべきである。
日経は近視眼的になってはならない。患者側に立ち、診療内容の一つである過剰検査にメスを入れる新機関の設置を提案すべきである。国民負担増は当り前で、余りにも企業・事業者寄りの姿勢を強めれば、いずれは読者の不読の反乱に遭遇しかねない。
8日、同日の記事は、高市政権の「食料品消費減税について賛成41%、反対37%」と報じた。社説は食料品消費減税に反対の姿勢を示した。以前の記事では、学者の多くが食料品消費減税に懐疑的であると紹介していた。こうした一連の記事は社論誘導的で、支える統計には怪しさも伴う。
確かに減税財源問題は重要である。しかし、政党と政治家の選挙公約は重い。高市政権は消費税食料品ゼロを掲げて大勝した。野党の多くも、食料品ゼロや消費税廃止を公約に掲げた。今さら彼らが「消費減税反対」に転じることは許されまい。次の選挙で、「反対」を公約としたら、存続が至難になるのではないか。
政府は、2年間の時限措置として食料品消費税を1%とし、その財源で所得連動給付を導入【実質0に】するとしている。2年後には税率を8%に戻し、勤労を条件とし、税制を通じて給付する「給付(還付)つき税額控除(EITC)」を導入するとしている。この制度設計、とりわけEITC導入、には大きな疑問符がつく。
AIによる雇用崩壊は深刻化している。生成AIやフィジカルAI/ロボットの代替で、働きたくても働けない人が急増することは必至である。AI雇用崩壊には、勤労を条件としない、簡素な最低所得保障制度(UBI/ユニバーサル・ベーシックインカム)で対応する時代に入っている。アメリカなどでも多くの識者や企業家、政治家が、EITCからUBIへの転換を訴えている。逆に、働いても生活を苦しい層だけを保護するEITCは、「分断」、「差別」の助長につながりかねない。
事実、UBIの方が、明らかに「人権」ファーストにもつながる。ユニバーサル(皆)給付は、高所得者優遇につながり「公平」でないとする主張もある。しかし、UBIは課税対象とし、免税点を設けたうえで、超過累進税率で課税すれば、問題は解決する。
勤労を条件とし、還付申告をした者に給付するEITCは、AI雇用崩壊が迫るなか、明らかに時代錯誤である。それに、日本では勤労所得者の多くが年末調整で済む。働いても生活が苦しい人たちは、仕事を掛け持ちしているケースも多い。こうした人たちの税務申告を求め、僅かばかりの金銭を給付する仕組みは「簡素」とは言えない。直接給付の方が、コスト効率が格段によい。EITCは、税制は「公平」であるとともに、「効率」・「簡素」でないといけないとする租税原則と衝突する。
日経はAIの急速な進化を連日報じている。にもかかわらず、勤労を条件とするEITC導入を頑なに主張している。こうした議論を主導するミスト氏には、早期の退場を望みたい。
リアル・マスメディアのフェイク、偏り(かたより)を糺す(ただす)のも、ネットメディアの重要な使命の1つである。