2026/06/06

辺野古事故が「教育基本法違反」認定は、行き過ぎた公権力の介入だ!

3月16日、沖縄県名護市辺野古沖で小型船が転覆し、京都の同志社国際高校の生徒らが死亡した。生徒らは平和学習として、普天間飛行場の移設工事を海上から見学していた。この事故を受け、文部科学省は5月、同校の学習が教育基本法14条2項に反するとして是正を求めた。政治的中立性を理由に教育基本法違反を認定したのは、同法施行(1947年)以来、初めてである。京都府も補助金減額を検討しているが、妥当とは言い難い。

文科省が問題視したのは次の点である。1 船長が移設反対の抗議活動に関わっていたこと。2 事前学習で反対以外の見解を扱っていないこと。確かに高校側には、下見や安全指導を怠った問題がある。だからこそ、まず改善すべきは安全管理と校外活動の体制だ。

しかし、これらを理由に教育基本法違反と断じるのは行き過ぎだ。同法は、戦前の国家奉仕教育への反省から生まれた。文部省が1948年に発行した教科書『民主主義』も、政策が教育を支配することを「大きなまちがいのもと」と警告している。公権力は教育内容への介入を厳に慎むべきである。

教育基本法14条は次のように定める。

(政治教育)

1項 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。

2項 学校は、特定政党を支持・反対する政治教育や政治的活動をしてはならない。

条文を素直に読めば、今回の研修を同法が禁止する「特定政党を支持・反対する政治教育や政治的活動」とみなすのは無理がある。

「政治的中立」の判断には恣意が入りやすい。移設を推進する政府・与党が公正な立場を取れるかも疑問だ。松本文科相は「総合的に勘案した」と述べたが、十分な根拠を示していない。文科省も京都府も常に中立とは限らず、独立した第三者機関の判断でもない。平和憲法を邪魔者扱いし、「戦争できる国」を目指す高市政権。自民一強の政治状況が影響しているとの見方も出る。

同相は「平和学習は萎縮せず進めてほしい」と語った。だが、額面どおりには受け取れない。全国の教員からは「戦争や政治を扱いにくくなる」との声が上がっているようだ。人間教育が背後に追いやられ、教育現場がさらに無機質な受験予備校化するおそれがある。

検定教科書で教育を縛り、政治権力が「政治的中立性」を安易に持ち出す。その結果、教育現場は萎縮し、教員志望者はさらに減りかねない。

投票年齢が18歳に下がった今、「政治的教養」を育てる学びは一段と重要だ。14条1項が求める教育の核心でもある。 安全を確保した上で、戦争と平和を目で見る学びを守らなければならない。その機会を失えば、歴史の実感は薄れ、判断力も育たない。

過度な管理教育は、必要以上にリスクをおそれる国民を生む。その結果、チャレンジ精神は育たず、社会の活力が落ち、国力を削ぐ要因にもなりかねない。