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◆マイナ保険証への国民の反乱に、プッシュ型「資格確認証」発行の愚策
現場を知らない参謀による無茶苦茶なマイナインパール作戦への国民の反乱は想定以上に強かった。マイナ保険証トラブルで、岸田政権への国民の支持率下落は止まらない。
岸田政権は、8月4日に、マイナ保険証トラブルへの対応策をアナウンスした。その内容は、マイナカードと健康保険証との一体化計画は改めない。現行の健康保険証を計画どおり2024年秋までに廃止し、マイナ保険証にする愚策は堅持する。その一方で、資格確認証を最長5年間、プッシュ型(個別申請なし)で交付するというもの。マイナ保険証を持っていても、資格確認証も交付してもらえる。
言い訳しないで、紙またはプラスチックカードの現行健康保険証を存続させることで一件落着にすれば、マイナカードトラブルに対する市民の反乱は消せる。にもかかわらず、岸田政権は、その道を歩もうとしなかった。新たな血税の浪費につながる資格確認証の発行という愚策を選択した。
裏返せば、この政権には、国民の利便性や人権ファーストの認識はない。国民の支持のない無謀な令和のマイナインパール作戦を継続する道を選んだともいえる。しかし、この懐柔策で、納得する市民は少ないのではないか?
現在、国民の半分程度がマイナ保険証に応じている。しかし、マイナカードトラブルに備えて資格確認証も交付してもらうことになるのではないか。安心・安全に医療サービスを受ける態勢は崩壊しつつある。
これで、マイナカードパンデミックに抗する市民団体は、抵抗運動を継続することができる。
◆なぜデジタル化に逆行する官製のICカードなのか?他のG7諸国では、官製のICカードは発行していない。
モバイル端末(スマホやタブレット)全盛の時代である。官製のICカード発行自体がガラパゴス化した愚策である。他の先進諸国では、デジタル化に逆行する官製の物理的なICカードは発行していない。スマホに直接搭載する。それで、血税の無駄遣いを避けている。ところが、わが国では、それができない。血税の垂流しを続け、デジタル化時代に逆行する官製のICカードを発行し続けている。なぜなのだろうか?
「官が発行したリアルの通行手形で関所を設けて監視する仕組み」が「日本モデル」だと曲解し、政治家やマスメディアなども含め、この国全体が集団的ノイローゼにかかっているのではないか?
言いかえると、「リアルでも、デジタルでも、官が国民のIDを支配するのが正しい」とするマインドコントロールが解けてないからではないか?国民をやめたり、死んだりしたら、官製のIDは国に返してもらう、という発想なのではないか?
「スマホに官製のデジタルIDを搭載させたら、返納させるのは至難」という認識があるのかもしれない?
加えて、「信頼できない政府が発行した官製の国民背番号データ(マイナICカードデータ)を自分のスマホに搭載するなどとんでもない!」で、歓迎する市民はあまりいないからではないか?
◆国民皆保険制度を餌食にした悪政は終わらない
政府や今般のマイナインパール作戦の参謀は、「マイナカードパンデミック」拡散に、誰も逃げられない国民皆保険制度を餌食にすることにした。
政府は紙の保険証の「廃止」に先立って、まず保険医療機関と保険薬局をターゲットにした。2023(令和5)年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入を義務化した。このために、規則を「改正」し、療養担当規則(これに違反した保険医療機関を保険指定の取り消しにできるようにした。このシステム導入を拒んだ医療機関は、最悪の場合、保険指定取消しもあり得る。
ただ当初は、仮にすべての保険医療機関にシステムが導入されたとしても、国民は、現行の健康保険証が使用できなくなるわけではなかった。この段階では、あくまでも医療機関側に「マイナ保険証」に対応するよう求めるものであった。
しかし、政府は、マイナICカードを実質国民全員に持たせる政策に方向を転換した。23年の通常国会で、健康保険法などを改正し、現行の保険証廃止を2024年秋に期限を定めた。その結果、国民はこれまでの健康保険証でも問題なく使い続けることができなくなった。これが昨今のマイナ保険証トラブル発生の根源である。
◆「Mシステム」で実質、常時、国民を位置情報(GPS)監視
マイナ保険証と顔認証情報とを使って保険証資格確認をするネットワークの仕組みは、国家による国民の顔認証データの集中監視につながる。データ監視国家の構想である。国中の路上に張り巡らされたNシステム(自動車ナンバー自動読取システム)の医療分野版、いわばあらたな「Mシステム(medical surveillance system)」の創設と見てよい。
◆本人同意のない顔パス利用は人権侵害
国民が医療機関や薬局などを訪れることで、本人のはっきりした同意なしに生涯不変の生体情報(顔面情報)の提供を強要されるのは、個人情報保護の基本原則とぶつかる。EU(欧州連合)をはじめとした民主主義国家では、センシティブ(機微)な生涯不変の生体データの利用を、人権保護の観点から厳しく制限する方向にある。アメリカでは、人種差別その他の人権侵害につながるとして、顔パスの自由な利用を禁止する方向にある。
わが国でマイナ保険証反対を叫ぶ諸団体も、あらたなMシステム、顔認証ネットワークシステム/デジタルプラットフォームによる位置確認を可能にする危険なデータ収容所列島化構想が持つ人権侵害機能への訴えがいまだ弱い。
また、医療機関や薬局で収集・管理される顔認証情報がどのように扱われるのか、透明性、公開性が問われている。国中の医療機関や薬局に生体認証式監視カメラを設置しても、悪いことをしていなければ怖がることはないでは済まされないことである。
やましいことをした人は、安心して医療機関で治療を受ける権利はないといった考えは危険だ。医療機関を治安機関に変身させるのは、権威主義国家の発想で、民主主義国家の発想ではない。
◆自動徴兵・赤紙発行システムに豹変も?
逃げられない国民皆保険制度を道具にしてマイナ保険証で収集・管理した国民の健康・医療情報は、国家が自動徴兵、赤紙発行にも悪用できる。平和憲法とぶつかることをしようとする政権が独り歩きし出すことが危惧される。
官製のICカード・顔パスを核としたマイナ保険証ネットワークシステム(Mシステム)は、自動徴兵選別、赤紙自動交付システムにもなりかねない。私たち市民は、マイナ保険証の今後の危険な使われ方に対し、もっと注視する必要がある。
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◆マイナ保険証への国民の反乱に、プッシュ型「資格確認証」発行の愚策
現場を知らない参謀による無茶苦茶なマイナインパール作戦への国民の反乱は想定以上に強かった。マイナ保険証トラブルで、岸田政権への国民の支持率下落は止まらない。
岸田政権は、8月4日に、マイナ保険証トラブルへの対応策をアナウンスした。その内容は、マイナカードと健康保険証との一体化計画は改めない。現行の健康保険証を計画どおり2024年秋までに廃止し、マイナ保険証にする愚策は堅持する。その一方で、資格確認証を最長5年間、プッシュ型(個別申請なし)で交付するというもの。マイナ保険証を持っていても、資格確認証も交付してもらえる。
言い訳しないで、紙またはプラスチックカードの現行健康保険証を存続させることで一件落着にすれば、マイナカードトラブルに対する市民の反乱は消せる。にもかかわらず、岸田政権は、その道を歩もうとしなかった。新たな血税の浪費につながる資格確認証の発行という愚策を選択した。
裏返せば、この政権には、国民の利便性や人権ファーストの認識はない。国民の支持のない無謀な令和のマイナインパール作戦を継続する道を選んだともいえる。しかし、この懐柔策で、納得する市民は少ないのではないか?
現在、国民の半分程度がマイナ保険証に応じている。しかし、マイナカードトラブルに備えて資格確認証も交付してもらうことになるのではないか。安心・安全に医療サービスを受ける態勢は崩壊しつつある。
これで、マイナカードパンデミックに抗する市民団体は、抵抗運動を継続することができる。
◆なぜデジタル化に逆行する官製のICカードなのか?他のG7諸国では、官製のICカードは発行していない。
モバイル端末(スマホやタブレット)全盛の時代である。官製のICカード発行自体がガラパゴス化した愚策である。他の先進諸国では、デジタル化に逆行する官製の物理的なICカードは発行していない。スマホに直接搭載する。それで、血税の無駄遣いを避けている。ところが、わが国では、それができない。血税の垂流しを続け、デジタル化時代に逆行する官製のICカードを発行し続けている。なぜなのだろうか?
「官が発行したリアルの通行手形で関所を設けて監視する仕組み」が「日本モデル」だと曲解し、政治家やマスメディアなども含め、この国全体が集団的ノイローゼにかかっているのではないか?
言いかえると、「リアルでも、デジタルでも、官が国民のIDを支配するのが正しい」とするマインドコントロールが解けてないからではないか?国民をやめたり、死んだりしたら、官製のIDは国に返してもらう、という発想なのではないか?
「スマホに官製のデジタルIDを搭載させたら、返納させるのは至難」という認識があるのかもしれない?
加えて、「信頼できない政府が発行した官製の国民背番号データ(マイナICカードデータ)を自分のスマホに搭載するなどとんでもない!」で、歓迎する市民はあまりいないからではないか?
◆国民皆保険制度を餌食にした悪政は終わらない
政府や今般のマイナインパール作戦の参謀は、「マイナカードパンデミック」拡散に、誰も逃げられない国民皆保険制度を餌食にすることにした。
政府は紙の保険証の「廃止」に先立って、まず保険医療機関と保険薬局をターゲットにした。2023(令和5)年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入を義務化した。このために、規則を「改正」し、療養担当規則(これに違反した保険医療機関を保険指定の取り消しにできるようにした。このシステム導入を拒んだ医療機関は、最悪の場合、保険指定取消しもあり得る。
ただ当初は、仮にすべての保険医療機関にシステムが導入されたとしても、国民は、現行の健康保険証が使用できなくなるわけではなかった。この段階では、あくまでも医療機関側に「マイナ保険証」に対応するよう求めるものであった。
しかし、政府は、マイナICカードを実質国民全員に持たせる政策に方向を転換した。23年の通常国会で、健康保険法などを改正し、現行の保険証廃止を2024年秋に期限を定めた。その結果、国民はこれまでの健康保険証でも問題なく使い続けることができなくなった。これが昨今のマイナ保険証トラブル発生の根源である。
◆「Mシステム」で実質、常時、国民を位置情報(GPS)監視
マイナ保険証と顔認証情報とを使って保険証資格確認をするネットワークの仕組みは、国家による国民の顔認証データの集中監視につながる。データ監視国家の構想である。国中の路上に張り巡らされたNシステム(自動車ナンバー自動読取システム)の医療分野版、いわばあらたな「Mシステム(medical surveillance system)」の創設と見てよい。
◆本人同意のない顔パス利用は人権侵害
国民が医療機関や薬局などを訪れることで、本人のはっきりした同意なしに生涯不変の生体情報(顔面情報)の提供を強要されるのは、個人情報保護の基本原則とぶつかる。EU(欧州連合)をはじめとした民主主義国家では、センシティブ(機微)な生涯不変の生体データの利用を、人権保護の観点から厳しく制限する方向にある。アメリカでは、人種差別その他の人権侵害につながるとして、顔パスの自由な利用を禁止する方向にある。
わが国でマイナ保険証反対を叫ぶ諸団体も、あらたなMシステム、顔認証ネットワークシステム/デジタルプラットフォームによる位置確認を可能にする危険なデータ収容所列島化構想が持つ人権侵害機能への訴えがいまだ弱い。
また、医療機関や薬局で収集・管理される顔認証情報がどのように扱われるのか、透明性、公開性が問われている。国中の医療機関や薬局に生体認証式監視カメラを設置しても、悪いことをしていなければ怖がることはないでは済まされないことである。
やましいことをした人は、安心して医療機関で治療を受ける権利はないといった考えは危険だ。医療機関を治安機関に変身させるのは、権威主義国家の発想で、民主主義国家の発想ではない。
◆自動徴兵・赤紙発行システムに豹変も?
逃げられない国民皆保険制度を道具にしてマイナ保険証で収集・管理した国民の健康・医療情報は、国家が自動徴兵、赤紙発行にも悪用できる。平和憲法とぶつかることをしようとする政権が独り歩きし出すことが危惧される。
官製のICカード・顔パスを核としたマイナ保険証ネットワークシステム(Mシステム)は、自動徴兵選別、赤紙自動交付システムにもなりかねない。私たち市民は、マイナ保険証の今後の危険な使われ方に対し、もっと注視する必要がある。