2010/07

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2010/07/28

千葉法相、辻本議員、仙石議員、そんなに「権力」「役人」がお好きなの??

「役人のお気に入り」になって、選挙民に“啞菅”と捨てられた首相。

その後も、“政治の不信”が相次ぐ。

死刑反対論者?の千葉法相が、死刑へ「Goサイン」を出した。 自分の信念を捨てて、役人に操縦されても、権力の椅子へしがみつきたいのですか? もう、お辞めになったら・・・・!!

一方で、“権力”を手にした時期の中毒症状から“逃げられない、忘れられない”で、社民を離党した辻本議員・・・・・。あなたも、議員もお辞めになって、頭冷やすためにも、世界一周でもしてきたら??

市民派やめて、政権党の魔力に酔って、自民と大連立とか言っている仙石議員・・・・(むかしの仙石とは違うんだぁ〜〜〜、じゃ済まないって)

自民とおんなじになった「民主の存在意義はない」もの・・・・

信念もなく、この堕落して、お役人の金魚の●●●のようになってしまった“失望の☆”

「こんな連中や政党はいらない!!」

Big Sister

2010/07/25

なぜ、郵便局の労働現場の監視カメラだけが撤去されるのか?

企業の現場で、「監視カメラ」を使った過剰な“労務管理”が猛威をふるっている。職場に設置されたマイク付き監視カメラを遠隔操作、社員に逐次「雑談を止めなさい」、「しっかり働きなさい」とアドバイスするコンサルタント会社が“売上”をあげている。

まさに、勤労者を「社畜」化し、あるいは「奴隷工場」を地で行くような労務監視が横行しているわけだ。“IT技術の進歩”、“成果”とは言ってられない!!

郵便局もこうした労務監視の例外ではなかった。2007年の郵政民営化の頃に、全国2万4千局のうち、特定郵便局を中心に約1万8千局に「監視カメラ」が設置された。「防犯+職員の働きぶりの監視」をねらいで、設置費用は約700億円かかったという。

こうした“労務監視”に“待った!”をかけた政治家がいる。昨年9月の民主政権誕生後、全国郵政局長会(全特)の要望を受けた国民新党やみんなの党に所属する政治家である。

“郵政”の監視カメラ問題に積極的に取り組んでいるは、みんなの党の柿沢未途衆議院議員である。

柿沢議員は、『郵便局の「間仕切り」及び監視カメラの撤去に関する質問主意書』(2010年4月1日)を総理大臣あてに提出している。4月9日に総理大臣が回答した「答弁書」では、「一部に不適切な配置があったことにより労働の過剰監視につながり職員の士気を失わせるなどの弊害が結果としてあった」と、監視カメラなどの設置について問題があったことを認めている。(http://www.310kakizawa.jp/rinentoseisaku.html)

自公政権下ですすめられた郵政改革、その一環として設置された監視カメラは、特定局長や職員にはきわめて“不評”であった。

雇用主側の日本郵政グループは、政権交代など“政治の動き”に過敏だ。国民新党などからの撤去要求が出ると、“政治の暴風”を避けるために、監視カメラの撤去をすすめた。撤去費用は、何と総額で32億円にも上るという。

この郵政向けの「公共工事」に投じられた巨額な資金の「ムダ遣い」はおとがめなし。一方、ITハイエナ企業にとっては、設置しても、撤去しても、棚ぼた利益につながる。彼らには「ムダ遣い」自体が“おいしい話”なわけだ。住基ネットや住基カードなどと同じである。

国民新党やみんなの党の姿勢はプラス評価に値する。だが、問題は、政治が問うた監視カメラが、なぜ「郵便局だけ」なのかである?

監視カメラを使った過剰な労務監視は、一般企業にジワリじわりと広がってきている。カメラを使った過剰な労務監視は、“働く者の精神を蝕む”。労働者保護諸法や人権保護上、禁止されて当然である。

政治が、集票力のある、あるいは力の強い労働者だけを護るのではバランスを欠く。これが「政治主導??」の“実際”だとしたら、庶民の政治離れはますます加速するに違いない。

市民派を標榜しながら、「市民を守る」という“歌を忘れた民主党”は、役人の手足・ゲシュタポとなって共通番号【国民背番号】の導入、国民ID【国民登録証】カードの導入、大衆増税を叫ぶだけ。これでは、自民などと同じで、“存在根拠なし”。国民の厳しい裁断が下るのは当り前だ。

郵便局の労務管理用の監視カメラ撤去の動きが出てきている今が“名誉回復”のチャンスだろうに。民主党は、この“芽”を育て、カメラを使った不当労働行為にもつながりかねない労務監視サービスを売るIT企業や、監視カメラを活用して過度の労務監視を行う企業の“営業に自由”に歯止めをかけるべきだ。

家族や自分を護るために職場の労務監視カメラの前で「社畜」を演じることを強いられている一般サラリーマン・OLの“働く権利”を護り、職場環境の改善につなげる気はないのだろうか??   「監視カメラを働く者が監視できるシステムつくり」が緊急のアジェンダである。

政党の“日常活動”とは、こうした虐げられた人々に支援の手を差し伸べることからはじまる。議場で居眠りしている議員、強い役人や企業などと組んで弱い虐げられた庶民を放置する給料泥棒のような議員、「こんな連中こそ、カメラ監視が必要だろう!!」

Big Brother

2010/07/19

 菅政権、共通番号制、導入前提での1カ月間の意見公募開始

PIJ国民総背番号IDカード問題対策チーム

民主政権は、国家戦略室に、閣僚などからなる「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」(共通番号制度検討会)を設けて、税金と社会保障の個人情報を一つにまとめる共通番号制度(国民総背番号制導入)の検討をすすめていることは周知のところだ。

民主の背番号構想に、PIJは、当初から反対してきた。背番号を官民でオープン利用になり、「なりすまし犯罪」がバッコする社会になることは、確実だからである。 

荒井国家戦略担当相は7月16日に、背番号の導入について、利用範囲やどの番号が望ましいかを、同日から8月16日まで意見募集すると発表した。意見募集要項などはインターネット(http://www.npu.go.jp/policy/policy03/archive07.html)にある。意見はメールのほか、郵送、ファクスでもOKだという。

今回の意見公募の仕方は、アンケート調査では“不適切”と評される、導入を前提とした“誘導型”回答の書式となっている。言い換えると、そもそも導入に反対な人たちの意見はいらない、として排除される構図になっている。

今回の意見公募の対象である民主政権が構想を練っている新たな背番号の利用範囲や使う番号の選択肢は、すでに、共通番号制度検討会が参院選大敗の直前の6月末に『中間報告』として公表。したがって、民主の背番号導入に賛成の人は、利用する範囲は、「税のみ」「税と社会保障」「幅広い行政分野」などの中から選ぶ。また、使う番号は「基礎年金番号」「住民票コード」「新たな番号」の3案から選ぶやり方だ。望ましいものを選んだうえで、その理由を書く欄もある。

だが、『中間報告』、さらには今回のアンケートでは、共通番号が可視化して汎用されることで成りすまし犯罪社会化し、苦悩しているアメリカなどの実情については全く触れない。また共通番号の汎用が国民の人権侵害につながる可能性については、全く説明責任を尽していない。さらには、共通番号を格納する国民ID【国民登録証・現代版電子通行手形】制度構想とのパッケージで国民に説明責任を尽くしていない。

こんな状況で、そもそも、素人を相手に賛成を前提としたアンケートをして、どうしようというのであろうか。 

存続そのものが危うい民主政権は、共通番号を見える化して導入し、汎用の結果、アメリカ社会のように「成りすまし犯罪者天国」になっても、そのときに責任をとれないだろうに。あるいは、「成りすまし犯罪」による人権侵害が多発しても、賛成論だけを募ったアンケートを基に、「賛成した国民が悪い」と、結果責任を国民に押し付けるつもりだろうか。多分、問題が多発したときのことを先読みし、アリバイつくりをしているのだろう。このアンケートの仕方は、そうとしかとれない。

役人や役人とつるんだITハイエナ企業に操られ、菅政権は、いつまで、こんな無責任の政治を続けるつもりなのだろうか。

共通番号をめぐっては、一たん導入を許すと生涯診療情報の国家管理までエスカレートさせる方向であることから、導入そのものに慎重な意見も少なくない。

にもかかわらず、今回の回答書式には自由な意見を書き込む欄はない。また、募集要項で「社会インフラとして整備する必要がある」と強調している。つまり、「国民の幅広い個人情報を国家が管理するのは当り前、いやなら、この国の国民であることをやめたら・・・」のトーンはいただけない。民主主義のイロハを知らない連中のやり方だ。

国家戦略室は、「反対意見があれば、選択肢を選んだ後にその理由を書く、記述欄に書いてほしい」としている、と報道されている。がしかし、こうした社会調査手法それ自体が、「不適切」である。

参院選で大敗の直後に、こうした危ない背番号構想への賛成意見を募る。あくまでも、「増税と背番号管理」という役人が敷いた路線を走ろうとする「菅」政権の「官」依存の体質をまざまざと見せつけられた。参院選で大敗して、「市民派(?)を標榜する民主党は、プライバシー保護など人権に慎重な立場に戻るのではないか」という、お灸を据えた人たちの“期待”を、またもや見事に裏切った。

ちなみに、番号賛成に「変節」した朝日新聞7月18日朝刊「社説」のタイトルは『共通番号制―目的と利点をくわしく』だと。この新聞、住基ネット導入へ反対した「過去」の責任はどこへ行ってしまったのであろうか??

私たち国民は、こうした市民の人権を大事にしない一部マスコミの姿勢も、問わなければならない。「戦時中は戦争に協力する。敗戦後は、戦犯追及に協力し、反戦を唱える。そして、また変わる・・・。」といったスタイルの言論機関も、二枚舌の菅政権と同じように、国民の信頼を失って、“売れない、買わない”となるのは当たり前かも知れない。

2010/07/17

共通番号、国民IDカード制廃止で、看板掛け直したら?

民主政権の誕生で、「市民派の勝利!」は、ヌカよろこびでした。「市民派(?)の民主党は、プライバシー保護など人権に慎重な立場をとる」という“定説”は通用せず、期待は見事に裏切られました。

民主政権は、(1)共通番号【国民背番号】と(2)国民ID【国民登録証】カードの2つのツールを使った“データ監視国家”の仕組みを構築しようとしています。

民主政権は、これら2つの監視ツールによって、社会保障・納税・医療など幅広く「全国民の個人情報を政府が一元管理する体制」の確立を目指しています。個人の自由を尊重する政府システムとは、相容れない方向を目指しているわけです。参院選で大敗したのに、いまだ市民派目線を欠いています。

私たち市民は“共通番号付国民IDカードを携行・提示しないと市民生活ができない社会”の実現を望んでいません。将来に“負の遺産”を残してはなりません。共通番号や国民IDカードは絶対に要りません。

共通番号付国民IDカード制導入に加え、役人の言いなりになって消費税率10%の大衆増税を持ち出し普天間問題隠し、一方ではマニフェストで約束した「納税者権利憲章」制定にはまったく消極的。「脱官僚政治」の看板ははげ落ち、「官」のお抱え運転手のようになってしまった「菅」政権、これでは自民政権と同じ【いや、もっと悪い】わけで、「存在根拠なし」といえます。

“エラクなったとカン違い”し、舞い上がってしまったあげくのはてに、“反省ザル”を演じてみても、もう遅い!管さん、はやくお辞めになった方がよいのではないでしょうか。

辞めたくな〜い、と駄々をこねるのなら、共通番号付国民IDカード制導入を止め、看板の掛け直し【市民派にヘンシ〜ン】をしたら、どうでしょうか?

Big Sister

2010/07/16

イギリス新連立政権の監視カメラ規制策

PIJ監視カメラ対策立法プロジェクトチーム(PT)

イギリスの保守党&自由民主党との新連立政権は、監視国家体制をすすめた労働党政権下で蹂躙された「国民の人権回復のための関連3法案」を議会で審議中である。この件については、すでにこのブログでふれた。

人権回復3法案は、連立政権のパートナーである自由民主党(LDP)【保守勢力である日本の自民党とは異なり、イギリスのLDPは超革新政党】の政権公約(マニフェスト)に基づいて議会に上程されたものである。人権回復3法案のうちの一つ「自由(抜本廃止)法案(Freedom《Great Repeal》Bill)」には、「監視カメラの規制(Regulation of CCTV)」が盛り込まれている。それでは、新政権は、どういった監視カメラ規制を目指しているのであろうか?

イギリスの自由民主党(LDP)は、2009年11月に(1)自由法案の全文および(2)自由法案逐条解説を公表している。(2)自由法案逐条解説(第7)で、監視カメラ規制の方向性を示しており、参考となる。以下に、仮訳して紹介する。

 《第7. 監視カメラ規制》

イギリスは、世界で最も監視された社会になっている。イギリスは、世界の総人口の1%以下を占めるだけなのに、地球上の監視カメラ総数の5分の1がこの国に設置されている。労働党が構築した全体主義国家(Big Brother State)においては、監視カメラはあらゆる場所に行き渡っている。イギリスには、400万台を超える監視カメラが設置されている。これは、人口あたり14人に1台、また、各人は、毎日、300台を超える監視カメラに撮影されている勘定になる。1990年代に、内務省は、犯罪対策費の78%を監視カメラの設置に費やし、過去10年間で5億ボンドを越える公金を監視インフラの構築へ投資し続けてきた。

私どもは、監視カメラは万能薬でないと考えている。監視カメラは、スピード違反のドライバーを捕まえるためなどにも使われている。また、駐車場において、窃盗犯罪を防止するために使われている。にもかかわらず、犯罪防止のため、あるいは、被疑者を法廷で裁くための、監視カメラが確実に役立っているとの証拠はほとんどない。内務省の研究では、次のように結論づけている。「監視カメラ・スキームは、一般的に見て犯罪抑止という面ではほとんど効果がない」と。また、監視カメラで収集した多くの証拠が、裁判所では不採用となっている。にもかかわらず、監視カメラはこの国のいたる所に広く普及してきており、その技術は日ごとの進歩してきている。カメラはいたる所に数を増やしてきており、例えば、自動ナンバープレート認識(ANPR=Automatic Number Plate Recognition)ソフトウエアを組み込んだ監視カメラ【いわゆる、我が国のNシステム】が出現している。監視カメラが本質的に規制を受けていないことに対して、次第に疑いの目が強くなっている。

自民党は、人々のあらゆる動きが記録される監視社会へ向かって夢中遊行させられるようになる前に、監視カメラの利用、その全面的な規制に向けて公に議論されるべきである、と考える。最近、議会上院が出した報告書は、次のように結論づけている。イギリスは、監視カメラの利用において「世界をリードしている」。しかし、その利用について、「ほとんど制限がない」。つまり、その利用について、明確な法的規制がない、と。法的規制に必要性について注目されているのは、唯一、自動ナンバープレート認識(ANPR)についてだけである。まさに、今、行動する時である。自民党は、プライバシー保護のために、監視カメラの利用と規制について【内閣の求めで女王が任命する】王立調査委員会(Royal Commission)に緊急に諮問して答申を求めたいと考える。ケンブリッジ市議会のように、多くの地方議会は、監視カメラの利用に関する運用基準の作成において優れた実績をあげている。このことは、王立調査委員会が、調査を開始し、法的な強制力のある運用基準の検討をする適切な場所といえる。

2010/07/15

民主党大敗は当然、大衆増税、背番号付国民IDカード制万歳の“偽市民派”の菅はアカン

参院選で、国民は、「菅はアカン」との判断を下した。300兆円を超える内部留保をかかえる大企業には法人税減税・大衆には消費税10%増税、背番号付国民IDカード制導入・・・・・菅首相は、何を考えているのか??・・・・「脱官僚政治」は大ウソで、役人のわら人形のようになってしまった彼に、国民は、金づちでカ〜ンカン・・と、五寸釘を打ち付けた!!

5月15日(水)東京新聞朝刊、記事《「菅」に「官」のにおい》では、「共通番号制に前向き姿勢も 参院選の敗因の一つ」と分析している。いわく、「一般に人権を重視する『市民派』は【共通番号制】導入に慎重な立場をとりがちだ。だが、菅政権はIT戦略行程表で共通番号制度導入に向け、本格議論を始める方針を打ち出した。」これも敗因の一つと。この記事では、《共通番号が不可欠という考え方は、財務省の考え方を代弁しているだけで、“偽市民派”の仮面をかぶった“官僚目線”の菅氏の本当の姿を見抜いた・・結果》と分析している。

「消費税増税一辺倒の世論つくり」に加担、「背番号付国民IDカード制導入に賛成」論調のマスコミのなかにあって、東京新聞の記事は、一読に値する。

Big Brother

2010/07/08

人権尊重が求められる国交省のフルボディスキャナー実証実験

  PIJフルボディスキャナー検査問題検討委員会

◎米機爆破未遂事件では、テロ容疑者が爆発物を下着に縫い込んで、空港の金属探知機をすり抜けた。これが大きなきっかけとなり、これまでの「金属探知」や「ボディチェック(pat-down)」では不十分ということで、世界各地の空港で、乗客や搭乗員の人体全体へ電磁波を照射し、“全身透視画像を撮って検査する機器(フルボディ・イメージング・マシン)”が導入されてきている。この機器は、「フルボディスキャナー(full body 【whole body】 scanners)」と呼ばれる。

◎国交省は、7月5日から9月10日まで、成田国際空港で、フルボディスキャナー検査の実証実験を開始した。実証実験計画を読むと、実施に先立ち、被検者である個人、乗客のプライバシーについては、かなり慎重な検討がなされていると見てとれる。だが、この透視検査では、人体全体へ電磁波を照射し、“個人の全身(あるいは全裸)の3次元画像”を取り扱うことにつながる。乗客には、嫌悪感が極めて強い検査方法である。

◎今回は実証実験だが、それでも、この検査方法に対する乗客の感情などを勘案したうえで、かなり慎重な運用が求められる。事実、アメリカなどでは、女性乗客がフルボディスキャナー検査で「侮辱を受けた」という苦情が、空港当局へかなりの数で寄せられている。

◎また、アメリカ、カナダなど各国のプライバシーを守る市民団体は、「この検査方法はプライバシーの侵害にあたる」あるいは「人種差別につながる」などの理由で、フルボディスキャナーの利用を止めるように訴えている。

◎イギリス政府の平等・人権委員会(Equality and Human Rights Commission)も、空港でのフルボディスキャナー検査に慎重な姿勢を明らかにしている。この検査方法が、プライバシー侵害に加え、特定国出身者などへの人種偏見を助長したり、信教の自由を侵害することにつながる怖れも強いというのが主な理由である。

◎フルボディスキャナー検査では、電磁波を人体全体へ照射することになる。ここで照射する電磁波は、ミリ波(テラ波)で、人体にはほとんど影響がないとされる(PIJは安全性についての科学的根拠を確認できていない)。X線とは異なり、安全性は高いとされる。危険なX線の照射ではないとはいうものの、透視をねらいに電磁波を「人体全体へ照射する」ということで、健康への不安感は強い。とりわけ、妊娠している女性などへ不安を与えるものであってはならない。

◎女性乗客へ妊娠しているかどうかを問うことも一案であるが、そもそも妊娠しているかどうかは本人の高度のプライバシー【センシティブ情報】である。ある意味では、医療情報などと同類とみてもよい。したがって、フルボディスキャナー被検者の選択において、女性乗客に妊娠の有無を申告させること自体、慎重でなければならない。

◎これまでの検査方法とは異なり、フルボディスキャナーによる透視検査では、“個人の全身(あるいは全裸)の3次元画像(three-dimensional images of individual’s naked bodies)”を取り扱うことにつながる。乗客の嫌悪感、恥辱感、プライバシー流出などへの不安感はすこぶる強い。事実、アメリカにおけるフルボディスキャナー検査に対するクレイムの大半は、女性乗客からのものである。透視のためにミリ波などを全身に照射し、全裸にして検査することに対する被検者の嫌悪感、羞恥心への配慮不足に起因している。

◎フルボディスキャナーによる透視検査で検知される画像情報は、見方によっては、医療情報と同じような本人の高度のプライバシー【センシティブ情報】である。「テロ防止・安全対策」という“利益(法益)”と、「乗客個人のプライバシー権」の保護とのバランスのとれた対応が求められている。

◎“性悪説”、つまり、乗客全員がテロリストと仮定してのフルボディスキャナー検査の広範な利用には異論がある。とりわけ、テロの可能性がほとんどない状況で、恒常的にフルボディスキャナー検査を実施し、乗客に対して一方的に受忍義務を課すのは、問題が大きい。「テロ防止・安全対策」上の“必要益”を著しく越え、「乗客個人のプライバシー権」上の“保護法益”を不当に侵害するものといえる。こうした運用はゆるされないものと解される。

◎最高裁は、判決で「みだりに撮像(撮影)されない権利」、つまり「肖像権」を認めている。一般に、肖像権は広い意味でのプライバシー権の一部と解されている。フルボディスキャナー検査では、原則として“記録映像”は残さない、消去するとしている。また、女性の検査は女性の検査者が担当するとしている。しかし、電磁波を全身の照射し、被検者の高度の全裸画像を撮像し、検査することは、実施の仕方次第では、本人の肖像権、プライバシー権の侵害につながるおそれも出てくる。 

◎公的機関や民間機関が市民に個人情報の提供を求める場合には、事前に「本人の同意」を得ることがプライバシー法上の鉄則である。したがって、仮に正式にフルボディスキャナー検査を導入するとした場合には、被検者の事前の同意を得る仕組みをどのように構築するかは重い課題となる。

◎レギャラーに航空機を利用している乗客などは、爆発物を機内に持ち込む可能性はほとんどないことは、搭乗履歴などから容易にチャックできるはずだ。こうした乗客については、従来に金属探知・ボディチェックで十分であろう。また、フルボディスキャナー検査を本人が望まないならば、当然、従来の検査方法の選択が許されてよい。「いやな奴は乗るな」といった荒っぽい理屈で済まされることではない。

◎フルボディスキャナー検査システムの“見える化”をさらにすすめ、この「システムの運用を常時“乗客・市民が検査”できる体制」をどう確保するかが最大の課題である。法制上の根拠もなく、市民に不透明なかたちで安易にこうした検査方法を正式に導入し、まじめな乗客・市民のプライバシー権を危殆に陥れることは許されない。

◎憲法13条【個人の尊重】は、「すべての国民は、個人として尊重される。」と定める。また、憲法31条【法的手続の保障】は、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科されない。」と定める。フルボディスキャナー検査システムの運用の仕方次第では、違憲となる疑いも出てくる。

2010年7月8日