2009/09

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2009/09/22

民主政権、いち早く納番導入を叫ぶ

国民管理大好き政党が政権奪取に成功したら、早速、国民に牙を抜きはじめた。

09年9月21日に、財務省で開かれた政務三役会議で、峰崎直樹財務副大臣が、すべての納税者に番号を付けて所得を把握する「(民主党が公約した)納税者番号(納番)制度の検討をはじめるべきだ」と提案。藤井財務相も「公約だ」と述べ、実現に向けた検討をすすめることに同意した。

民主党は、政権公約(マニフェスト)で「税と社会保障制度共通の番号制度の導入」を謳っていた。年金制度や福祉と税制の一体化などの改革を実現するには、個人の所得などを政府が把握することが必要と謳った。

納番制度の導入時期などは決めなかったが、改革を実現するため不可欠なインフラで、早急な整備が必要との認識で一致したもよう。10月にスタートする新政府税制調査会などで具体的な議論を行う方向だ。

民主党が目指す制度改革を実現するためには、自営業者などの所得を把握が必要であり、それに納番が役立つというのは“事実誤認”である。むしろ、アメリカなどの例を見るまでもなく、社保番号(SSN)・納番を乱用した“成りすまし犯罪者天国”化が懸念される。アメリカでは、社保番号・納番の垂れ流しで、議会や金融犯罪取締当局は、手をやいている。きわめて深刻な状況にある。峰崎副大臣も、税金使わず、ポケットマネーで渡米して、番号犯罪の氾濫状態を一度視察して来た方がいい。

また、民主党は、働いても貧しい人たち(ワーキングプーア・低所得者)対策として、アメリカなどで導入している減税と社会保障給付を組み合わせた「給付(還付)つき税額控除」導入の方向を打ち出しており、これを実現するためにも納番が不可欠という。だが、「給付(還付)つき税額控除」の検討にあたっては、納番よりも、全員確定申告の仕組み、そのための税務支援制度を整備、さらに、そのための税理士(税務書類の作成)業務の規制緩和(有償独占化)による申告ボランティアの大量育成など、課題が山積している。

事実、アメリカにおいては、民間ボランティアによる還付申告支援制度が充実しているのにもかかわらず、「給付(還付)つき税額控除」申告の4分の1は過誤申告・不正申告という実情にある。納番があれば、所得把握も容易で、この種の還付申告が正しく行われる??とかいう、無責任でおバカな議論はやめよう。

仮にわが国で「給付(還付)つき税額控除」を導入するとする。そうなれば、新たに年末調整の対象になっていない500万人くらいのワーキングプーアの人たちが税務署へ還付申告に押し寄せることになる。

これまで、税務署は一度でも、こうしたマル扶(給与所得者の扶養控除等申告書)が未提出で年調を受けておらず還付申告すれば税金が戻ってきる人たち向けにまじめに税務支援を行ったことがあったであろうか?むしろ、税務署は意図的に“沈黙してこうした人たちを署に近づけてこなかった”のではないか?? 民主党はこれまで、こうした人たちの還付申告についてまったく発言してこなかったではないか!!

まず、今年末に向けて、いまの税制のもとでのワーキングプーア向けの還付申告について、まじめに申告支援のためのアクション・プランを考えるべきである。臨税の大量導入など、いくらでも手立てはあるではないか。

“納番”がどうのこうのと、税金で食えてるあなた方のレベルでの思考は一時凍結した方がいい。頭でっかちにならず、本当に“生活が第一”のワーキングプーア向けの還付申告奨励プランを先行して実施すべきである。

                                             PIJ社保番号カード反対プロジェクト

2009/09/07

田中直毅の“堅牢かつ柔軟な『個人識別番号制度』”必要論 登場

田中直毅(国際公共政策研究センター理事長)という肩書の人が、09年9月4日日経朝刊「新政権へ:課題聞く」で、次のように言う。

「まず必要なのは憲法25条に規定する生存権を保障し、その使命を果たすための共通の社会基盤を整備することだ。堅牢かつ柔軟な『個人識別番号制度』をすべての国民にふることから始まる。民主は納税者番号制度の導入と社会保険庁と国税庁の統合による『歳入庁』の発足を公約した。識別番号制は、それをより充実させるイメージだ。」

「名前はさておき、人がこの世に生まれてから墓場に入るまで遭遇するあらゆる局面に役立つ番号制度がいる。国が一人ひとりの個別の情報を集めるのがねらいではない。個人情報は厳重に保護したうえで、たとえば派遣社員をしていて職を失う羽目になった人がどの程度いて、その属性はどういうものか、などのデータベースを素早く正確につかめる仕組みだ」

「貯蓄、借り入れ、投資など金融取引にも個人識別番号の提示は義務付ける。・・・属性データベースを一定のルールを決めて民間に解放すれば、マーケティングの機会が広がる。職業訓練などにも同じように使える」

以上が、日経の大林尚編集委員の質問に答えての田中さんのご異見。ちょっと、目を疑う“人格権無用論者”。だが、民主の社保番号万歳論も、一歩路を踏み外すと、こんな方向へすすむおそれは多いにあるということを教えてくれる反面教師。

以前から“背番号万歳”論調の日経は、“背番号万歳”の民主政権誕生を契機に、意図的に、こんな背番号万歳論者を登場させているのだろう。

田中さんの国際公共政策研究センター理事長との肩書もよくわからないけども。「おぎゃ〜と生まれてから墓場」に入るまで“国家が国民を徹底データ監視すべき”とのあからさまな“極論”登場もはじめてではないか。こんな政策は研究して欲しくない。それにしても、日経も、たいした言論人を見つけてきたものだ。

だったら、田中さん、“堅牢かつ柔軟な『個人識別番号制度』”などといわずに、“国民総背番号制”とはっきりいったらいいのじゃないか。あなたが構想する「データ牢獄国家」に憲法25条の生存権があるとは思えないのだが??

派遣社員になる「属性」をデータベースにして、民間に解放する?? そうか。“派遣社員”って“悪玉”の属性なんだ?“人工妊娠中絶”、“シングルマザー”、“プータロー”等々、さまざまな属性を国家が管理することが“健全”と言う感覚・・・・、解せない、 ・・・・こんな「ナチス」張りのこと言うのも、「言論の自由」なんだ??

田中さんは、国民一人ひとりの資産、給付、資料などの番号管理がしっかりしていないから、「多くの人はびくびくしながら貯蓄に走る。それに歯止めをかける効果が大きい」と言うが・・・・。

国民を自立させないで、国家が○○の穴まで管理して、生かしてやる仕組みは、旧態依然とした“社会主義”の考え方。いや、国民選別論に根ざした“国家社会主義”だ??   We are in public・・・・・・Death of privacy・・・・・

こんな議論、憲法25条の生存権と安易に結びつけて欲しくない。識別番号つけて、“悪玉”の属性のある人を徹底的に識別(差別)して、その人の生存権を奪う結果に導くことを憲法25条が想定しているわけがないはない。

憲法13条をベースにした人格権、プライバシー権を死滅させる議論は絶対に“健全”じゃない!! まっしろな民主党の若者議員の人たち、“生活が第一”は結構だけど、田中さんのような“国家社会主義者”の論理に惑わされちゃいけない。

住基コードっていう、立派な識別番号つくって、今度は、「社会保障番号」とか、ムダな公共事業は止めよう。民主のマニフェストにも、“ムダな公共事業はヤメル”って書いてたが・・・・・。

                 Big Brother

2009/09/03

名古屋市住基ネット市民アンケート結果公表、市長コメント

名古屋市は、9月1日、全国民に11けたの住民票コード(番号)をつけて運用する「住民基本台帳ネットについての市民アンケート」の結果をまとめ、公表した。

このアンケートは、市長選時のマニュフェストに基づき、河村たかし市長の指示で行ったもの。市長は、国会議員時代に住基ネット反対の立場だった。

市長は、「今回の結果で、切断する、切断しないの判断をするものではない」と説明。結論は、先送りにされたかたちだ。

【名古屋市住基ネットアンケート結果】

《住基コードについて》

「自分の住民票にコードが記載されたことを知っているか」との質問に対し、

【回答結果】 ・「知っている」と答えた人は半数ほど(50.3%)。 ・一方、「知らない」という回答も半数近くある(46.6%)。関心の薄さが浮かび上がった。

《住基カードについて》

「住基カードを知っているか」の質問に対し、

【回答結果】 ・内容は知らない(56.5%)・全く知らない(20.4%)が7割以上。 ・住基カード持っていない市民も約9割(89.2%)。 ・カードを持っている市民は(8.1%、過去に持った人1.3%を含めると)、1割弱(9%)程度。そのうち、住基カードが役立っているという市民は1割程度(10.9%)。 ・逆に、カードを持っている市民で、役立っていないと思う人は(どちらかといえば役立っていないという人16.3%を含め)5割(53%)を超えた。

《住基ネットを切断した場合》

住基ネット導入時に、国は「各種行政申請時に住民票の添付が不要になる」と宣伝した。ところが、現在、住基ネットは今や「年金ネット」と揶揄されるほど、利用範囲が限定されている。(全国的にみても、住基ネットの使い途、99.5%は年金事務関係です。他に大きな使い途がないのが現状。)

(1)そこで、アンケートでは、住基ネットを切断した場合、年金の現況届が郵送になる“負担”になるけどどうかを質問。

【回答結果】 年金の現況届出に毎年郵送代50円かかることに、“負担を感じるという人”は、44.5%。これに対して、“負担を感じない(25.1%)+わからない(29.4%)”とで、54.5%を超えた。

(2)それから、5年か10年に一度必要になる、パスポート申請のときに、住基ネットを切断した場合、住民票に写しを取る必要があるけど、“負担”になるかどうかを質問。

【回答結果】 パスポート申請時に手数料300円払い住民票をとり、申請場所まで持参することについて、“負担を感じるという人”が46.1%。しかし、“負担感じない(32.0%)+わからない(20.6%)”は、5割(52.%)を超えた。

《名古屋市が住基ネットを接続していることについて》

「市が住基ネットを接続していることについて」の質問に対し、

【回答結果】 ・賛成(13%)、どちらかといえば賛成(21.7%)を含めても、計34.7%。 ・一方、反対(6.3%)+どちらかといえば反対(11.3%)、計17.6%。 ・どちらともいえない(29.5%)+わからない(16.7%)で、計46.2%

(ちなみに、アンケートでは、「住基ネットは最高裁で違憲ではないの判決が出ている」とか、「住基ネットは市民サービスの向上に役立っている」とか市側の意見を付して質問。マスコミなどからは“中立性”を欠くと批判された。)

【PIJのアンケート結果分析】 PIJは、このアンケート結果は、「住基ネットの有用性は極めて怪しい。ムダな出費」。「接続しつづけるかどうかは、市長の政治判断に委ねる」が、“大方の市民の判断”、とみる。

【アンケート結果に対する河村たかし市長のコメント】

今回のアンケートは、プライバシー問題、住基コードの利用拡大に伴う“成りすまし”問題、住基ネット情報の漏えい問題などは、あえて問わない形でアンケート調査を実施しました。

しかし、こうした問題を含めてアンケート調査を実施した場合、市民の皆様は、市が住基ネットを接続し続けることに、もっと強い疑問符、拒否反応を示したのではないかと思います。

いま、国は、住基ネットをベースとして、新たに民間も使う形の「社会保障番号・カード」を導入しようという提案をしています。しかし、こうした形で住基ネットを拡大利用していきますと、市民の皆様のプライバシー(個人情報)を、自治体(名古屋市)が守って行くことは非常に難しくなります。

先般、アメリカの西海岸、カリフォルニア・ロサンゼルスに視察に行ってきました。たまたま、「史上最大の成りすまし事件(Biggest ID Theft in History)発覚」のニュース(2009年8月18日)を目にしました。

この事件では、1億3千万人分のクレジットカード、デビットカード情報が盗まれ、成りすまし犯罪に使われたそうです。(この事件で、マイアミに住む38歳の男が逮捕され、起訴された、との報道でした。)

アメリカでは、クレジットカード、デビットカードカードなどの管理に政府が出した社会保障番号(SSN=Social Security Number)が使われています。このため、カード情報が盗まれれば、社会保障番号も漏れてしまうわけです。

アメリカでは、他人の社会保障番号を使った「なりすまし犯罪」には、手がつけられない状態に陥っています。連邦議会でも、対策に苦慮しています。

わが国でも、仮に住基ネットをベースに「社会保障番号・カード」を導入し、民間利用させた場合には、こうした情報犯罪事件があちこちで起こるおそれがあります。

私としても、市民の皆様が「成りすまし犯罪」の餌食になったりすることなく、安心してくらしていけるように、先頭にたって、プライバシー(個人情報)を守っていく必要があると考えています。

住基ネットについては、私は国会議員として活動していたときは反対の立場でありました。平成20年3月には、最高裁において、住基ネットにより本人確認情報を管理、利用等することは合憲であるとの判断が示されております。しかしながら、地裁、高裁の中には、住基ネットの運用を希望しない人の権利を侵し、憲法違反であると判断したものもあります。

今回の衆議院議員選挙の結果、民主党を中心とする政権が誕生することとなりますが、同党は、過去4回にわたり住基ネット廃止法案(住民基本台帳法の一部を改正する法律の廃止等に関する法律案)を国会に提出しています。

こうしたことから、新政権が住基ネットに対して、どのような方針を持って臨むのかについても注視していく必要があると考えています。

現時点で、市として引き続き住基ネットに接続するのか、切断することもありうるのかを判断しているわけではありませんが、今回のアンケート結果、費用対効果、プライバシー問題、国の動向などを踏まえながら、市民の皆様にとって最も望ましい結論を導いてまいりたいと考えています。

                                     名古屋市長 河村たかし