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共通番号及び国民IDカード制度問題検討名古屋市委員会が河村たかし市長に「意見書」を提出
河村たかし名古屋市長は、2010年8月22日に「共通番号・IDカード制度問題検討名古屋市委員会(平松毅委員長・憲法学者・姫路独協大学法科大学院特別教授、以下「委員会」)に対して「国が検討している社会保障・税の共通番号及び国民ID制度が市民生活に与える影響について(意見聴取)」検討し、意見を提出するように求めた。
委員会は、平松委員長のほか、浅野洋委員(税理士、名古屋市経営アドバイザー)、石村耕治委員(委員長代理、白鴎大学法学部教授、名古屋市経営アドバイザー)および園田寿委員(甲南大学法科大学院教授、弁護士)がメンバーとなり、検討を行った。 委員会は、8月20日(第1回)、9月6日(第2回)、そして11月5日(最終回)の3回の会議を開き、意見書をまとめ、12月3日に河村市長へ提出した。
委員会は、共通番号及び国民ID制度は、国民監視ツールであることを指摘したうえで、国(政府)がいう行政の効率性や利便性は、国民・住民の人権がしっかりと確保されることを前提に精査されなければならないこと。共通番号は可視(見える)化して一般に公開して使うことが予定されていることから「成りすまし犯罪者」闊歩する社会につながるのは必至なこと。一方、国民ID〔カード〕制は、いわゆる「国民登録証」「国内パスポート」「現代版電子通行手形」であること等を指摘している。
制度の骨組みだけが明らかな現時点において、このデータ監視社会づくりのこれら二つのツール導入問題についてはなおさら、?憲法論、人権論の視点から精査することが重要となること。さらに、?海外の情勢分析も必要不可欠となる、というスタンスで問題の検討をすすめている。 憲法論・人権論に照らして精査すると、国がめざす共通番号〔マスターキー〕制や国民ID〔カード〕制は、憲法13条が保障する国民・住民のひとりにしてもらう権利、情報に関する自己決定権(自己情報決定権)という憲法上の権利の恒常的な侵害につながるツールであることから、自治体住民の自由権を恒常的に侵害するおそれが強く、憲法に抵触する可能性が極めて高い監視ツールであること。したがって、国は、共通番号や国民ID〔カード〕制は導入すべきではないとしている。
そして、国が、住基ネットを基盤にした共通番号制や国民ID〔カード〕制を、自治体の意思、民主党政権の地域主権確立の公約などに反して推進するのであれば、名古屋市は、その基となっている住基ネットへの参加や納税者情報に関する国税連携の在り方などをも視野に入れて、住民(市民)の自由権の保護に万全を尽くすべきである、としている。
報告書のポイントは、次のとおりである。 * * * 政府が検討している?社会保障・税の共通番号(共通番号)と?国民ID〔カード〕制の二つの「ツール(仕組み)」は、国民・住民情報の一元管理体制(国民・住民情報の中央集権体制)の構築にある。そして、これら二つのツールによって公的年金・医療・介護・雇用保険のような社会保障や納税など「国民・住民の幅広い個人情報(プライバシー)を政府が分散集約する形で一元管理する体制」ができあがると、国家は共通番号というマスターキー(汎用番号)を使い、官民の多様なデータベースに蓄積された国民・住民のプライバシー、その究極においては人格権を「串刺し」にして監視できる。いわゆる「国民総背番号制」が構築される。
共通番号や国民ID〔カード〕制導入について、政府や一部の識者などから、行政の効率性や利便性を基準に、一定のプライバシー保護措置を講じれば共通番号や国民ID〔カード〕制などは許容されるとする、いわゆる「情報セキュリティ論」が主張される。しかし、行政の効率性や利便性は、国民・住民の人権がしっかりと確保されることを前提に精査されなければならない。また、制度の骨組みだけが明らかな現時点において、この問題についてはなおさら、憲法論、人権論の視点から精査することが重要となる。さらに、海外の情勢分析も必要不可欠となる。
共通番号は、見える(可視)化し一般に公開される形で、マスターキーとして、公的年金・医療・介護・雇用保険のような社会保障や納税などを通じて官民にわたり幅広い目的に使われることが予定されていることから、国民・住民を監視するツールとして機能すると同時に、国民・住民を成りすまし犯罪者などの標的にすることにもつながる。また、国民ID〔カード〕も、非常時でもないのに、これを常時携行・提示しないと実質市民サービスが受けられない利便性の悪い社会につながり、また、社会生活を拘束し国民・住民の自由を著しく制限する監視ツールである。
憲法論・人権論に照らして精査すると、国がめざす共通番号や国民ID〔カード〕制は、国民・住民のひとりにしてもらう権利、情報に関する自己決定権(自己情報決定権)という憲法上の権利の恒常的な侵害につながるツールであることから、自治体住民の自由権を恒常的に侵害するおそれが強く、憲法に抵触する可能性が極めて高い監視ツールである。したがって、国は、共通番号や国民ID〔カード〕制は導入すべきではない。
国が、住基ネットを基盤にした共通番号制や国民ID〔カード〕制を、自治体の意思、民主党政権の地域主権確立の公約などに反して推進するのであれば、名古屋市は、その基となっている住基ネットへの参加や納税者情報に関する国税連携の在り方などをも視野に入れて、住民(市民)の自由権の保護に万全を尽くすべきである。
「意見書」にアクセスする名古屋市HPのアドレスは、次のとおり。
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000019547.html
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共通番号及び国民IDカード制度問題検討名古屋市委員会が河村たかし市長に「意見書」を提出
河村たかし名古屋市長は、2010年8月22日に「共通番号・IDカード制度問題検討名古屋市委員会(平松毅委員長・憲法学者・姫路独協大学法科大学院特別教授、以下「委員会」)に対して「国が検討している社会保障・税の共通番号及び国民ID制度が市民生活に与える影響について(意見聴取)」検討し、意見を提出するように求めた。
委員会は、平松委員長のほか、浅野洋委員(税理士、名古屋市経営アドバイザー)、石村耕治委員(委員長代理、白鴎大学法学部教授、名古屋市経営アドバイザー)および園田寿委員(甲南大学法科大学院教授、弁護士)がメンバーとなり、検討を行った。 委員会は、8月20日(第1回)、9月6日(第2回)、そして11月5日(最終回)の3回の会議を開き、意見書をまとめ、12月3日に河村市長へ提出した。
委員会は、共通番号及び国民ID制度は、国民監視ツールであることを指摘したうえで、国(政府)がいう行政の効率性や利便性は、国民・住民の人権がしっかりと確保されることを前提に精査されなければならないこと。共通番号は可視(見える)化して一般に公開して使うことが予定されていることから「成りすまし犯罪者」闊歩する社会につながるのは必至なこと。一方、国民ID〔カード〕制は、いわゆる「国民登録証」「国内パスポート」「現代版電子通行手形」であること等を指摘している。
制度の骨組みだけが明らかな現時点において、このデータ監視社会づくりのこれら二つのツール導入問題についてはなおさら、?憲法論、人権論の視点から精査することが重要となること。さらに、?海外の情勢分析も必要不可欠となる、というスタンスで問題の検討をすすめている。 憲法論・人権論に照らして精査すると、国がめざす共通番号〔マスターキー〕制や国民ID〔カード〕制は、憲法13条が保障する国民・住民のひとりにしてもらう権利、情報に関する自己決定権(自己情報決定権)という憲法上の権利の恒常的な侵害につながるツールであることから、自治体住民の自由権を恒常的に侵害するおそれが強く、憲法に抵触する可能性が極めて高い監視ツールであること。したがって、国は、共通番号や国民ID〔カード〕制は導入すべきではないとしている。
そして、国が、住基ネットを基盤にした共通番号制や国民ID〔カード〕制を、自治体の意思、民主党政権の地域主権確立の公約などに反して推進するのであれば、名古屋市は、その基となっている住基ネットへの参加や納税者情報に関する国税連携の在り方などをも視野に入れて、住民(市民)の自由権の保護に万全を尽くすべきである、としている。
報告書のポイントは、次のとおりである。 * * * 政府が検討している?社会保障・税の共通番号(共通番号)と?国民ID〔カード〕制の二つの「ツール(仕組み)」は、国民・住民情報の一元管理体制(国民・住民情報の中央集権体制)の構築にある。そして、これら二つのツールによって公的年金・医療・介護・雇用保険のような社会保障や納税など「国民・住民の幅広い個人情報(プライバシー)を政府が分散集約する形で一元管理する体制」ができあがると、国家は共通番号というマスターキー(汎用番号)を使い、官民の多様なデータベースに蓄積された国民・住民のプライバシー、その究極においては人格権を「串刺し」にして監視できる。いわゆる「国民総背番号制」が構築される。
共通番号や国民ID〔カード〕制導入について、政府や一部の識者などから、行政の効率性や利便性を基準に、一定のプライバシー保護措置を講じれば共通番号や国民ID〔カード〕制などは許容されるとする、いわゆる「情報セキュリティ論」が主張される。しかし、行政の効率性や利便性は、国民・住民の人権がしっかりと確保されることを前提に精査されなければならない。また、制度の骨組みだけが明らかな現時点において、この問題についてはなおさら、憲法論、人権論の視点から精査することが重要となる。さらに、海外の情勢分析も必要不可欠となる。
共通番号は、見える(可視)化し一般に公開される形で、マスターキーとして、公的年金・医療・介護・雇用保険のような社会保障や納税などを通じて官民にわたり幅広い目的に使われることが予定されていることから、国民・住民を監視するツールとして機能すると同時に、国民・住民を成りすまし犯罪者などの標的にすることにもつながる。また、国民ID〔カード〕も、非常時でもないのに、これを常時携行・提示しないと実質市民サービスが受けられない利便性の悪い社会につながり、また、社会生活を拘束し国民・住民の自由を著しく制限する監視ツールである。
憲法論・人権論に照らして精査すると、国がめざす共通番号や国民ID〔カード〕制は、国民・住民のひとりにしてもらう権利、情報に関する自己決定権(自己情報決定権)という憲法上の権利の恒常的な侵害につながるツールであることから、自治体住民の自由権を恒常的に侵害するおそれが強く、憲法に抵触する可能性が極めて高い監視ツールである。したがって、国は、共通番号や国民ID〔カード〕制は導入すべきではない。
国が、住基ネットを基盤にした共通番号制や国民ID〔カード〕制を、自治体の意思、民主党政権の地域主権確立の公約などに反して推進するのであれば、名古屋市は、その基となっている住基ネットへの参加や納税者情報に関する国税連携の在り方などをも視野に入れて、住民(市民)の自由権の保護に万全を尽くすべきである。
「意見書」にアクセスする名古屋市HPのアドレスは、次のとおり。
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000019547.html