2010/10/28

事業仕分けで、、「ジョブカード制度」を「廃止」判定

政府の行政刷新会議は10月27日、特別会計(特会、18会計)を対象とする「事業仕分け第3弾」をスタートさせた。1日目の作業では、厚生労働省(厚労省)所管の労働保険特会がまな板に乗せられた。その結果、「ジョブカード制度」を「廃止」と判定した。

ジョッブカード制度は、若い人たちの就労を目的に職業訓練の受講歴などを記録して就職活動に生かそうとする仕組み。働いても貧しい人たち(ワーキングプア)、フリーターの人たちの職業訓練の受講歴などを記録するICカードを使って、就労・求職支援を行おうことで、政府が2007年2月に打ち出した政策。翌2008年4月から実施された。

ジョブカード制度の対象者は、ハローワークやジョブカフェ等で登録キャリア・コンサルタントによるキャリア・コンサルティングを受けながらジョブカードを作成する。この段階で、対象者が就職を希望した場合は、就職活動となる。一方、職業訓練を希望した場合は、企業における実習と教育訓練施設などで実践的な訓練(職業能力形成プログラム)を受講する。修了後、その企業からの評価シートをもらい、再び、キャリア・コンサルティングを受けてジョブカードを作成し、就職活動となる。

PIJは、このジョッブカード制度は、仕事がなく弱い立場にある若い人たちの履歴・職令などを公的に管理する(人格権の公有化の)仕組みであり、プライバシー侵害的であると批判してきた。政府がやるべきではないムダな公共事業であるとし、廃止を求めてきた(CNNニューズ49号)。ジョッブカード制度は、ワーキングプア、フリーターの人たちの人格権を侵害し、フリーター歴を犯歴のように求職先に提供するにもつながるからである。こうしたICカード・システムづくり自体が、差別格差を助長する政策である。

ジョッブカード制度は、若い人たちの人格権を集中管理し、「商品」のように求職先の企業に提供させる仕組み。職業訓練を受けても、その評価が低い場合、逆に、その記録で求職先からはじき出されることになる。若い人たちを選別し、逆に、差別・格差を助長する可能性の高い職歴ICカードである。

公平な雇用を確保するには、求職者が個人情報で差別されないようにし、求職の機会を保障する仕組みをつくらなければならない。むしろ、求職者の学歴や職歴を必要以上の開示しなくとも試用期間を保障するような仕組みをつくるべきである。

ジョッブカード登録者実績は低迷。政財界のPR紙ともやゆされる「日経新聞」は、ジョッブカード振興をうたい度々エールを送ってきた。同紙28日朝刊では、「ジョッブカード廃止判定」は5面で小さな扱い。一方、毎日新聞や読売新聞では1面での扱い。

政府は6月に、ジョッブカードについて、2020年までに、現在の登録者約25万人を300万人に増やす目標を掲げて、閣議決定をしたばかり。今回の事業仕分けでのジョッブカードの廃止判定は、この閣議決定を覆す結果となった。“閣議決定”って何??・・・・2013年からの国民ID〔カード〕制導入も閣議決定したんだっけ??。

役人はしぶとい。今年4月の事業仕分け第2弾では、ネット上で若者の職業紹介する「職業情報総合データベース」が「廃止」と判定された。ところが、厚労省は復活を画策。2011年度予算概算請求を盛り込んでいることが判明。批判が噴出している。

役人にどやされて、厚労相が、きっとジョッブカード存続の道を画策するに違いない。だから、民主党政権は「役所依存」と批判されているのだが・・・・・!!

Big Brother