2010/09/08

日弁連「税と社会保障制度共通の番号」制度創設に関する意見書を公表

日本弁護士連合会(日弁連)は、2010年8月19日に「税と社会保障制度共通の番号」制度創設に関する意見書をとりまとめ公表した。また、8月25日づけで、内閣府、国家戦略室、財務省、総務省、厚生労働省に提出した。 (http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/100819.pdf)

【日弁連意見書の趣旨】

信頼できる税制と社会保障制度の構築が急務であり、また、「国民ID」や「番号」を活用した電子政府化の推進が各国で進められていることは事実であるが、それらの国と日本とでは、国情や国民性などに大きな違いがあるから、拙速に「番号制」の創設のみを進めるべきではない。特に、情報公開制度の充実,EU諸国やカナダなどに存在する独立の第三者機関の設立などを前提とした、プライバシー保護を踏まえた、国民・在留外国人に信頼される制度とすることが必要であり、慎重かつ根本的な検討が必要である。(http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/100819.html)

【日弁連意見書に対するPIJの見解】

PIJは、基本的人権を擁護し、社会的正義を実現することを使命する専門家集団である日弁連がこの問題について、詳細に分析し、早急に意見書を取りまとめたことに対して、敬意を表し、積極的に評価したい。

しかし、「国民ID制」の本質についての分析などについては異論がある。とりわけ、情報セキュリティ論(政府第三者機関の設置など、プライバシー保護措置があれば、導入もゆるされるのでは)といった意見書のトーンには異論がある。「共通番号付国民ID制」については、正面から、すなわち「人権論」「憲法論」の視点から取り組んで欲しかった。

PIJは、「共通番号付国民ID制」は国家が国民の人格権をトータルに支配することにつながり、憲法13条などに違反する仕組みであると考える。また、政権党が唱える地域主権の確立にも逆行する仕組みであると考える。したがって、PIJは、住基ネットを基盤にした共通番号や国民ID制の導入自体がゆるされないと考える。

PIJ国民総背番号制IDカード問題対策チーム

2010年9月1日