2010/08/22

共通番号及び国民IDカード制度問題検討名古屋市委員会が初会合

名古屋市役所で、「共通番号及び国民IDカード制度問題検討名古屋市委員会」が、8月20日午後2時から、開かれた。

河村たかし名古屋市長は、かねてから住基ネットに反対の意思を表明してきた。河村市長は、住基ネットの導入に4度も廃止法案を出した民主党が、政権につくや否やあらたに「共通番号」と「国民ID」制度の導入、を打ち出してきたことに懸念を表明してきた。こうした中央集権的な仕組みの導入は、“地方主権”を唱える政権の公約と明らかに抵触する。“市民が主役”はどこへ消えた、と批判してきている。

市長は、8月9日の定例記者会見で、専門家から意見を聴取するため名古屋市独自で検討委員会を立ち上げることをアナウンスした。検討委員会は、地方主権、住民の人権などに与える影響、導入の是非などを自治体レベルで検証し、市長へ意見を報告するのが主な任務。

委員は、個人情報、人権、税務問題などを専門とする学者や弁護士、税理士ら5人。3回の会合をもち、意見を報告にまとめ市長へ提出する。

20日に初めて開催された検討委員会には、市民傍聴人、市職員、マスコミ関係者などが多数が参集した。河村市長は「百年後の日本、この国のかたちを左右する大問題である。勇気をもって国に意見をすべきときである。力強い提言をいただきたい」とあいさつをした。

共通番号及び国民IDカード制度問題検討名古屋市委員会の委員長には、平松毅・関西学院大学名誉教授が選ばれた。平松委員長は、「政府は、メリットだけを強調している。しかも、地方主権どころか、個人情報の中央集権強化に走っている。こうした国の動きに警鐘をならし、住民のプライバシー権を護る行動ができるのは、市民生活に密着した自治体よりない」と議論の口火を切った。

つづいて、石村耕治・白鴎大学法学部教授が基調報告を行った。基調報告の概要は、つぎのとおりである。

はじめに、◆政府の「共通番号付国民IDカード制度」構想の検討組織 (1)共通番号【国民背番号】制導入の検討、(2)国民ID【国民登録証】カード制導入の検討、(3)共通番号付国民ID カード制導入のサポーター、◆「共通番号」で国民の個人情報の公有化、◆共通番号を「納税者番号」に使うことの意味、◆アメリカでは共通番号で「成りすまし犯罪者天国」に、◆「外部不経済」につながる共通番号制、◆共通番号を「本人確認」に使うことの危うさ ◆共通番号付国民IDカードは「国内版パスポート」 ◆「共通番号付国民IDカード」を使った国民情報の公有化で「安心・安全」なのか、◆イギリス新連立政権は、人権を蝕む「国民IDカード制」廃止に、◆問われる共通番号導入を前提とした「意見公募」 、むすび       

石村耕治委員の基調報告につづいて、活発な討論が行われた。

次回(第2回)委員会は、9月6日(月)午後3時から「名古屋市公館」 (名古屋市中区三の丸三丁目2番5号)で公開開催される。

【傍聴受付連絡先】名古屋市 市民経済局地域振興部区政課 担当:成田・鈴木 電話:052-972-3114

PIJ事務局