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イギリスで新たに発足した自民・保守連立政権(Lib-Con Coalition Government)のメイ内務相は、5月27日に「IDカード制廃止100日プラン」を公表した。
イギリスでは、内閣が提出する法案は、議会上院における議会開会式で行なわれる「女王の演説(Queen’s Speech)」のなかで明らかにされる。一般国民は、この演説を通じて政府がどのような法案を準備しているか知ることができる。
新政権誕生後の5月25日に開催された議会の女王の演説では、内務省が、「IDカード制廃止関連法案(政府立法案)」を準備していることが明らかにされた。 それらは、つぎのとおり。
(1) 身元確認資料法案(Identity Documents Bill)【この法案は、IDカードの廃止を目的とするもの。この法案通過後は、現在カードを保有する市民について国家身分登録台帳(NIR=National Identification Register)に保管されているあらゆる個人情報が廃棄される。】
(2) 警察改革・社会責任法案(Police Reform and Social Responsibility Bill)【この法案は、警察の職務内容を一般市民へ開示することをねらいとしたもの。】
(3) 自由(抜本廃止)法案(Freedom (Great Repeal) Bill【この法案は、市民に対する警察の影響力を制限することをねらいとしたもの。具体的には、DNAデータベースに情報入力されている人たちへの保護措置の強化、非暴力にかたちでの抗議活動をする権利の回復、および監視カメラ(CCTV)利用規制の強化など】
ちなみに、連立政権は、“移民の流入規制とIDカード制廃止”をパッケージとしている。このことから、2006年IDカード法(ID Cards Act 2006)に基づくIDカードに代えて、外国人には、2007年国境法に基づいて居住許可証(Residents Permits)を発給することになる。
ニック・クレッグ(Nick Clegg)副首相は、IDカード制廃止に関して、マスコミのインタビューに応えて、次にように述べている。
「このムダで、官僚発想的で、人権侵害的なIDカード制は、前政権の害悪のすべてを象徴するような存在である。早急にこのIDカード制度を廃止することにより、新政権は、閣僚になった者の身勝手な思い付きによって市民の自由を犠牲にするようなことはしない旨、を約束するものである。」
「IDカード制を廃止し、国家身分登録台帳(NIR)を廃棄することは、監視国家体制(surveillance state)を解体するための重要な一歩である。IDカードは氷山の一角である。イギリス人の勝ち取ってきた自由を回復するための一連の急進的な改革のスタートである。」
新政権は、「IDカード制廃止100日プラン」をベースに、来る8月までに、IDカード制廃止関連法案の議会通過をめざしている。
Big Brother
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イギリスで新たに発足した自民・保守連立政権(Lib-Con Coalition Government)のメイ内務相は、5月27日に「IDカード制廃止100日プラン」を公表した。
イギリスでは、内閣が提出する法案は、議会上院における議会開会式で行なわれる「女王の演説(Queen’s Speech)」のなかで明らかにされる。一般国民は、この演説を通じて政府がどのような法案を準備しているか知ることができる。
新政権誕生後の5月25日に開催された議会の女王の演説では、内務省が、「IDカード制廃止関連法案(政府立法案)」を準備していることが明らかにされた。 それらは、つぎのとおり。
(1) 身元確認資料法案(Identity Documents Bill)【この法案は、IDカードの廃止を目的とするもの。この法案通過後は、現在カードを保有する市民について国家身分登録台帳(NIR=National Identification Register)に保管されているあらゆる個人情報が廃棄される。】
(2) 警察改革・社会責任法案(Police Reform and Social Responsibility Bill)【この法案は、警察の職務内容を一般市民へ開示することをねらいとしたもの。】
(3) 自由(抜本廃止)法案(Freedom (Great Repeal) Bill【この法案は、市民に対する警察の影響力を制限することをねらいとしたもの。具体的には、DNAデータベースに情報入力されている人たちへの保護措置の強化、非暴力にかたちでの抗議活動をする権利の回復、および監視カメラ(CCTV)利用規制の強化など】
ちなみに、連立政権は、“移民の流入規制とIDカード制廃止”をパッケージとしている。このことから、2006年IDカード法(ID Cards Act 2006)に基づくIDカードに代えて、外国人には、2007年国境法に基づいて居住許可証(Residents Permits)を発給することになる。
ニック・クレッグ(Nick Clegg)副首相は、IDカード制廃止に関して、マスコミのインタビューに応えて、次にように述べている。
「このムダで、官僚発想的で、人権侵害的なIDカード制は、前政権の害悪のすべてを象徴するような存在である。早急にこのIDカード制度を廃止することにより、新政権は、閣僚になった者の身勝手な思い付きによって市民の自由を犠牲にするようなことはしない旨、を約束するものである。」
「IDカード制を廃止し、国家身分登録台帳(NIR)を廃棄することは、監視国家体制(surveillance state)を解体するための重要な一歩である。IDカードは氷山の一角である。イギリス人の勝ち取ってきた自由を回復するための一連の急進的な改革のスタートである。」
新政権は、「IDカード制廃止100日プラン」をベースに、来る8月までに、IDカード制廃止関連法案の議会通過をめざしている。
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