2010/02/20

北海道、住基ネット差し止め訴訟で札幌高裁、請求棄却

2010年2月19日(金)、住基ネットの差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決があった。

この訴訟は、「住基ネットはプライバシー権などを侵害し憲法違反」だとして、北海道内の15人の住民(矢口以文氏ほか)が原告となって、国・道・地方自治情報センターを相手に起こしたもの。

札幌高裁(末永進裁判長)は、住基ネットは合憲との判断を示した一審札幌地裁判決(2009年7月10日)を支持し、原告の控訴を棄却した。

裁判長の末永進氏は、判決理由で、「住基ネットの情報がみだりに開示・公表される具体的危険性はなく、プライバシー権の侵害にはならない」と判断。個人のさまざまな情報を住民票コードに合わせて集積する「データマッチング」の危険性については、「根拠のない不信感の表明にすぎない」として住民側の主張を退けた。

訴訟指揮ではさまざまな評判のある末永氏。3月の退官を前にして、もう少し内容のある裁断も期待された。だが、「住民側の主張には一切聞く耳を持たず」の最悪の内容。

末永法廷は、“住民よ。司法は体制維持《ステータスクォー(status quo)》装置であることをわきまえよ”といったことを高らかに言明したようなものだ。まさに、わが国の職業裁判官制度のあり方が問われている。

この不当判決に、原告、弁護団、住基ネット差し止め訴訟を支援する会・北海道なども、“司法は単なる国家権力の一部、司法の独立は幻想?”、の感をあらたにしたようだ。

住基ネット差し止めを求める訴訟は全国14地裁で起こされ、2件の原告勝訴判決《金沢地裁と大阪高裁》があった。だが、最高裁判決ではいずれも原告が敗訴。係争中の訴訟は、上告した北海道訴訟と熊本訴訟の2件だけとなる。

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