2009/12/13

旧政権の御用審議会が「国の要求に不服従な自治体を提訴できる制度導入」を提言

2009〔平成21〕年12月7日、「国・地方間の係争処理のあり方に関する研究会」が、報告書「国・地方間の係争処理のあり方について」をまとめ、公表した。

この研究会(御用審議会)は、総務省が、民主党中心の新政権誕生を織り込んで、平成21年7月末に、旧自公政権下で、駆け込み的に発足させたもの。

総務省が選んだ7人の有識者(塩野宏座長・高橋和之座長代理、委員は全員で7人)で構成。平成21年7月23日に、第1回の研究会を開催した。

この研究会の立上げは、住基ネットの接続を拒否する矢祭町や東京都国立市がターゲット。

現在、自治体は、国の決定に不満がある場合には、国を提訴できる。一方、国は自治体の決定に不満がある場合に、自治体を提訴できない。これを、法律で何とかしようというわけだ。

住基ネットの接続を拒否する東京都国立市に対し、総務相の指示を受けた東京都知事が「是正の要求」を行った。だが、同市は是正要求に応じなかった。

しかも、国立市は、自治紛争処理委員会に対する不服審査の申し出も行っていない。

このため、「住民基本台帳法に違反した状態が解消できない」というのが、総務省役人のぼやき。

こうした自治体による「違法状態」に、国が裁判を起こし、強引に介入して、対処できるようにしようというわけだ。これまで5回開かれ、報告書が出された。

・第1回(平成21年7月23日開催) ・第2回(平成21年8月28日開催) ・第3回(平成21年9月29日開催) ・第4回(平成21年10月23日開催) ・第5回(平成21年11月16日開催) ・「国・地方間の係争処理のあり方について(報告)」(平成21年12月7日) http://www.soumu.go.jp/main_content/000046989.pdf

こうした役所が設けた御用審議会は、常に「最初に結論ありき」である。

この研究会も同類である。担当大臣が自治体を相手に提訴できる「義務付け訴訟」の制度導入を軸に検討してきた。

報告書では、「法令に従わない自治体を国が提訴できる仕組みを導入すべきだ」との報告を行った。

報告書では、担当大臣が自治体を相手取り裁判所に提訴できる仕組みについて、自治体が判決に従わない場合を含めて、設計図を描いている。国が、自治体を羽交い絞めにできる仕組みを、様々な角度からまとめている。

ただ、民主党中心の新政権は、地域主権を強力に推進する方姿勢を打ち出している。このため、地方の自主決定権を国が奪える訴訟制度の導入については、慎重な姿勢で臨む方針を明らかにした。

 Big Brother