2009/09/07

田中直毅の“堅牢かつ柔軟な『個人識別番号制度』”必要論 登場

田中直毅(国際公共政策研究センター理事長)という肩書の人が、09年9月4日日経朝刊「新政権へ:課題聞く」で、次のように言う。

「まず必要なのは憲法25条に規定する生存権を保障し、その使命を果たすための共通の社会基盤を整備することだ。堅牢かつ柔軟な『個人識別番号制度』をすべての国民にふることから始まる。民主は納税者番号制度の導入と社会保険庁と国税庁の統合による『歳入庁』の発足を公約した。識別番号制は、それをより充実させるイメージだ。」

「名前はさておき、人がこの世に生まれてから墓場に入るまで遭遇するあらゆる局面に役立つ番号制度がいる。国が一人ひとりの個別の情報を集めるのがねらいではない。個人情報は厳重に保護したうえで、たとえば派遣社員をしていて職を失う羽目になった人がどの程度いて、その属性はどういうものか、などのデータベースを素早く正確につかめる仕組みだ」

「貯蓄、借り入れ、投資など金融取引にも個人識別番号の提示は義務付ける。・・・属性データベースを一定のルールを決めて民間に解放すれば、マーケティングの機会が広がる。職業訓練などにも同じように使える」

以上が、日経の大林尚編集委員の質問に答えての田中さんのご異見。ちょっと、目を疑う“人格権無用論者”。だが、民主の社保番号万歳論も、一歩路を踏み外すと、こんな方向へすすむおそれは多いにあるということを教えてくれる反面教師。

以前から“背番号万歳”論調の日経は、“背番号万歳”の民主政権誕生を契機に、意図的に、こんな背番号万歳論者を登場させているのだろう。

田中さんの国際公共政策研究センター理事長との肩書もよくわからないけども。「おぎゃ〜と生まれてから墓場」に入るまで“国家が国民を徹底データ監視すべき”とのあからさまな“極論”登場もはじめてではないか。こんな政策は研究して欲しくない。それにしても、日経も、たいした言論人を見つけてきたものだ。

だったら、田中さん、“堅牢かつ柔軟な『個人識別番号制度』”などといわずに、“国民総背番号制”とはっきりいったらいいのじゃないか。あなたが構想する「データ牢獄国家」に憲法25条の生存権があるとは思えないのだが??

派遣社員になる「属性」をデータベースにして、民間に解放する?? そうか。“派遣社員”って“悪玉”の属性なんだ?“人工妊娠中絶”、“シングルマザー”、“プータロー”等々、さまざまな属性を国家が管理することが“健全”と言う感覚・・・・、解せない、 ・・・・こんな「ナチス」張りのこと言うのも、「言論の自由」なんだ??

田中さんは、国民一人ひとりの資産、給付、資料などの番号管理がしっかりしていないから、「多くの人はびくびくしながら貯蓄に走る。それに歯止めをかける効果が大きい」と言うが・・・・。

国民を自立させないで、国家が○○の穴まで管理して、生かしてやる仕組みは、旧態依然とした“社会主義”の考え方。いや、国民選別論に根ざした“国家社会主義”だ??   We are in public・・・・・・Death of privacy・・・・・

こんな議論、憲法25条の生存権と安易に結びつけて欲しくない。識別番号つけて、“悪玉”の属性のある人を徹底的に識別(差別)して、その人の生存権を奪う結果に導くことを憲法25条が想定しているわけがないはない。

憲法13条をベースにした人格権、プライバシー権を死滅させる議論は絶対に“健全”じゃない!! まっしろな民主党の若者議員の人たち、“生活が第一”は結構だけど、田中さんのような“国家社会主義者”の論理に惑わされちゃいけない。

住基コードっていう、立派な識別番号つくって、今度は、「社会保障番号」とか、ムダな公共事業は止めよう。民主のマニフェストにも、“ムダな公共事業はヤメル”って書いてたが・・・・・。

                 Big Brother