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2024年4月3日の東海税務法務研究会(東海税法研)では、AI(人工知能)を使った税務相談ロボット(https://www.robon.co.jp/:例えば参考記事として:https://officenomikata.jp/news/15944/)が話題となりました。
「税務相談ロボットと税理士業務」の問題は、多くの税理士の市場からの退場につながりまねません。深刻にとらえる必要があります。4月2日のNHKニュースでは、インボイス制度とデジタル化で税理士の休業・廃業が相次いでいることが報道されました(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240402/k10014410011000.html)。税理士業務のデジタル化/IT化に続き、税理士業務のAI(人工知能)化も身近に迫ってきています。こんなに税理士界に危機が迫るなか、日税連の幹部10人程度、うち3人は夫婦で、2,000万円もの予算を組んでドイツの税理士会とリアル(対面)の交流会をするとか。オンライン/デジタル時代にはまったく似つかわしくない会の浄財の濫費が話題をさらっています。
そこで、今回は、税理士の危機管理意識を高める狙いで、税理士業務のAI化問題についてQ&A形式で、少し点検してみたいと思います。論点は、税務相談ロボットと税務会計IT企業の行方、税理士業務(判断業務)の行方、税務相談ロボットと税理士法など多岐にわたります。ただ、今回は、いくつかに論点を絞って見てみます。
(Q)税理士法に定める「税理士業務」は、「税務代理」、「税務書類の作成」、「税務相談」の3分野です。一方「税理士の業務」は、前記3分野に加え、記帳代行などの業務が加わります。税務のデジタル化/IT化/AI化が急激です。まず、税務会計ソフトウエアIT企業がどう事業展開したらよいのでしょうか?
(A)これまで、多くの税務会計ソフトウエアIT企業(税務会計IT企業)は、「税務書類の作成」のIT化で事業展開してきました。しかし、チャットGPTのような生成AI(人工知能)の出現により、「税務相談」のAI化に対応できるかどうかが、これら税務会計IT企業の存続を左右する時代に入っています。税務相談のAI化とは、税務相談ロボットの事業を展開することを意味します。この種の事業を展開するには、莫大な投資が必要になります。
ビッグ4(世界4大税務・会計・監査企業)は、税務相談のAI化に莫大な投資をしています。わが国の税務会計IT企業の多くは、太刀打ちできないのではないか、と思います。税務会計IT企業には、経営権を放しても、資本を注入し、税務相談AI化の荒波に立ち向かう気概が求められています。
(Q)最近、さきがけのベンチャー企業(リボン社)が開発した「税務相談ロボット(https://www.robon.co.jp/)」が話題をさらっています。この税務相談AIロボットは、的確なアンサーを提供してくれるのでしょうか?
(A)すでに試された税理士もたくさんいると思います。この企業は、日経新聞にも全面広告をアップしてましたので。皆さんの感想は、「まだまだ」、「未熟」、「国税庁のQ&Aのコピーが出てくる」とか、精度は今一つです。評価はあまりよくない感じです。データの蓄積が不十分だとAIは精度があがりません。
ただ、近年のデジタル化/AI化のスピードは、かつての10年が1年のような状況です。数年後にはさまざまな税務相談ロボットが市場に出回り、激烈な競争になるかも知れません。
(Q)税務相談ロボットは著作権上の問題を抱えていると思いますが?
(A)的確なアンサーを提供できないと税務相談ロボットの生存は至難です。しかし、あらゆるデータや情報、学術論文などをインプットして生成AIを使った完成度の高い商用の税務相談ロボットをつくり上げるには、著作権の保護が厳しく問われてくると思います。医療用手術ロボットなどとは、少し違う次元の問題がでてくると思います。
(Q)税務相談ロボットは、税理士法で規制対象となる「税理士等でない者」(非税理士)にあてはまるのでしょうか?
(A)4月1日から税理士等でない者(非税理士)に対する税務相談停止命令制度(税理士法第54条の2 /税理士等でない者が税務相談を行つた場合の命令等)が施行されました。その骨子は、次のとおりです。
1. 税理士等でない者が、有償か無償かを問わず、2.「税務相談」を行った場合で、3.「更に反復して」行われ、4. 不正に国税や地方税の賦課・徴収を免れさせ、又は不正還付をさせることにより、納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼすことを防止するため、5. 財務大臣が、緊急に措置を取る必要があると認めるときは、6. 国税庁長官が、5のための調査する必要性があると認めるときは、相談を行った者への報告徴収、または国税庁・税務署職員による質問・検査の実施し、7.「財務大臣は停止等必要な措置を命じることができる。
世界各国には、ロボットに人格を認めようという動きがあります。しかし、現時点で、わが国には、ロボットに人格を認め、ロボット税を課すとか、ロボットの行った知的作業に刑事責任を問うとか、不法行為責任を問うとかの議論は熟していません。加えて、税務相談ロボットの使用者責任とか、製造物責任とかの課題も深掘りされていません。
諸外国では「タックスシェルター規制」をしています。つまり、租税回避スキームなどを考案し、販売するビジネスに政府規制をかけています。仮に、税務相談ロボットが、4. 不正に国税や地方税の賦課・徴収を免れさせ、又は不正還付をさせることにより、納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼす事態が生じた場合には、どのような政府規制をかけるのかが問題になるかもしれません。税理士法は、士業を規制する、いわゆる「業法」です。そもそも、税理士法で、タックスシェルター規制をするのは、お門違いです。
(Q)AI活用の高度な税務相談ロボットの出現で、税理士は生き残れるのでしょうか?
(A)現在の税理士界は、IT化/デジタル化に遅れ、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」のような雰囲気です。しかし、税理士も、課税庁も、納税者も、AI活用の税務相談ロボットを使うようになれば、税法の適用・解釈の画一化は格段に進むのではないか、と思います。生き残りが至難という意味では、税理士だけでなく、他の仕業も同じではないかと思います。
日税連自体が、独自の税務相談ロボットを開発して会員の便宜を図るという選択も考えられます。しかし、幹部が、オンラインで済むものを、リアル(対面)の社交にして、会員の多額の浄財を浪費している現状では、前途多難です。「自戒自浄」「会員ファースト」のスタンスが求められています。
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2024年4月3日の東海税務法務研究会(東海税法研)では、AI(人工知能)を使った税務相談ロボット(https://www.robon.co.jp/:例えば参考記事として:https://officenomikata.jp/news/15944/)が話題となりました。
「税務相談ロボットと税理士業務」の問題は、多くの税理士の市場からの退場につながりまねません。深刻にとらえる必要があります。4月2日のNHKニュースでは、インボイス制度とデジタル化で税理士の休業・廃業が相次いでいることが報道されました(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240402/k10014410011000.html)。税理士業務のデジタル化/IT化に続き、税理士業務のAI(人工知能)化も身近に迫ってきています。こんなに税理士界に危機が迫るなか、日税連の幹部10人程度、うち3人は夫婦で、2,000万円もの予算を組んでドイツの税理士会とリアル(対面)の交流会をするとか。オンライン/デジタル時代にはまったく似つかわしくない会の浄財の濫費が話題をさらっています。
そこで、今回は、税理士の危機管理意識を高める狙いで、税理士業務のAI化問題についてQ&A形式で、少し点検してみたいと思います。論点は、税務相談ロボットと税務会計IT企業の行方、税理士業務(判断業務)の行方、税務相談ロボットと税理士法など多岐にわたります。ただ、今回は、いくつかに論点を絞って見てみます。
(Q)税理士法に定める「税理士業務」は、「税務代理」、「税務書類の作成」、「税務相談」の3分野です。一方「税理士の業務」は、前記3分野に加え、記帳代行などの業務が加わります。税務のデジタル化/IT化/AI化が急激です。まず、税務会計ソフトウエアIT企業がどう事業展開したらよいのでしょうか?
(A)これまで、多くの税務会計ソフトウエアIT企業(税務会計IT企業)は、「税務書類の作成」のIT化で事業展開してきました。しかし、チャットGPTのような生成AI(人工知能)の出現により、「税務相談」のAI化に対応できるかどうかが、これら税務会計IT企業の存続を左右する時代に入っています。税務相談のAI化とは、税務相談ロボットの事業を展開することを意味します。この種の事業を展開するには、莫大な投資が必要になります。
ビッグ4(世界4大税務・会計・監査企業)は、税務相談のAI化に莫大な投資をしています。わが国の税務会計IT企業の多くは、太刀打ちできないのではないか、と思います。税務会計IT企業には、経営権を放しても、資本を注入し、税務相談AI化の荒波に立ち向かう気概が求められています。
(Q)最近、さきがけのベンチャー企業(リボン社)が開発した「税務相談ロボット(https://www.robon.co.jp/)」が話題をさらっています。この税務相談AIロボットは、的確なアンサーを提供してくれるのでしょうか?
(A)すでに試された税理士もたくさんいると思います。この企業は、日経新聞にも全面広告をアップしてましたので。皆さんの感想は、「まだまだ」、「未熟」、「国税庁のQ&Aのコピーが出てくる」とか、精度は今一つです。評価はあまりよくない感じです。データの蓄積が不十分だとAIは精度があがりません。
ただ、近年のデジタル化/AI化のスピードは、かつての10年が1年のような状況です。数年後にはさまざまな税務相談ロボットが市場に出回り、激烈な競争になるかも知れません。
(Q)税務相談ロボットは著作権上の問題を抱えていると思いますが?
(A)的確なアンサーを提供できないと税務相談ロボットの生存は至難です。しかし、あらゆるデータや情報、学術論文などをインプットして生成AIを使った完成度の高い商用の税務相談ロボットをつくり上げるには、著作権の保護が厳しく問われてくると思います。医療用手術ロボットなどとは、少し違う次元の問題がでてくると思います。
(Q)税務相談ロボットは、税理士法で規制対象となる「税理士等でない者」(非税理士)にあてはまるのでしょうか?
(A)4月1日から税理士等でない者(非税理士)に対する税務相談停止命令制度(税理士法第54条の2 /税理士等でない者が税務相談を行つた場合の命令等)が施行されました。その骨子は、次のとおりです。
1. 税理士等でない者が、有償か無償かを問わず、2.「税務相談」を行った場合で、3.「更に反復して」行われ、4. 不正に国税や地方税の賦課・徴収を免れさせ、又は不正還付をさせることにより、納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼすことを防止するため、5. 財務大臣が、緊急に措置を取る必要があると認めるときは、6. 国税庁長官が、5のための調査する必要性があると認めるときは、相談を行った者への報告徴収、または国税庁・税務署職員による質問・検査の実施し、7.「財務大臣は停止等必要な措置を命じることができる。
世界各国には、ロボットに人格を認めようという動きがあります。しかし、現時点で、わが国には、ロボットに人格を認め、ロボット税を課すとか、ロボットの行った知的作業に刑事責任を問うとか、不法行為責任を問うとかの議論は熟していません。加えて、税務相談ロボットの使用者責任とか、製造物責任とかの課題も深掘りされていません。
諸外国では「タックスシェルター規制」をしています。つまり、租税回避スキームなどを考案し、販売するビジネスに政府規制をかけています。仮に、税務相談ロボットが、4. 不正に国税や地方税の賦課・徴収を免れさせ、又は不正還付をさせることにより、納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼす事態が生じた場合には、どのような政府規制をかけるのかが問題になるかもしれません。税理士法は、士業を規制する、いわゆる「業法」です。そもそも、税理士法で、タックスシェルター規制をするのは、お門違いです。
(Q)AI活用の高度な税務相談ロボットの出現で、税理士は生き残れるのでしょうか?
(A)現在の税理士界は、IT化/デジタル化に遅れ、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」のような雰囲気です。しかし、税理士も、課税庁も、納税者も、AI活用の税務相談ロボットを使うようになれば、税法の適用・解釈の画一化は格段に進むのではないか、と思います。生き残りが至難という意味では、税理士だけでなく、他の仕業も同じではないかと思います。
日税連自体が、独自の税務相談ロボットを開発して会員の便宜を図るという選択も考えられます。しかし、幹部が、オンラインで済むものを、リアル(対面)の社交にして、会員の多額の浄財を浪費している現状では、前途多難です。「自戒自浄」「会員ファースト」のスタンスが求められています。