2021/04/17

国民投票法改正を急ぐな!まず「SNS規制と言論の自由」問題の決着を急げ!

読者から、「国民投票法改正と言論の自由」について「声」が届きましたので、アップします(編集局)。

CNNニューズ105号の「ネット規制と言論の自由を考える」を読みました。レベルが高く、すごく興味深い対論でした。とくに、32頁で、ソーシャルメディアと国民投票法の関係を論じており、現在の国民投票法改正法案審議で抜けている点だと思いました。

今国会の衆院憲法審査会における国民投票法改正案の審議が開始されました。ここでは、リアルのメディアでの広告規制の問題だけを取り上げています。ソーシャルメディア(SNS)を使ったフェイク・ツイートと言論に自由のあり方などについては、ほとんど検討されていません。しかし、必要不可欠なポイントなはずです。

にもかかわらず、マスメディアによっては、日経新聞(21.04.16朝刊)のように、「国民投票法改正を決着させよ(社説)」とかけしかけるわけです。いわく、「立民などが採決に応じない理由のひとつに『テレビCMへの規制なしに国民投票が実施されると、世論がゆがめられかねない』との懸念がある。海外ではフェイクニュースが選挙結果に影響したとみられる事例もある。全く的外れな指摘でもないだろう。他方、公権力がCMの内容や頻度を束縛するのは、表現の自由の侵害につながるおそれがあり、法規制にはなじみにくい。いちばんよいのは、与野党が「集中豪雨的なCM放送はしない」との紳士協定を結ぶことだ」と。

すごく荒っぽい社説で、びっくりしました。普段、日経新聞はSNSの問題とかを丹念に報じています。SNSは言論活動の主役に躍り出ており、いまやその存在は無視できない時代です。にもかかわらず、リアルのCM放送云々でおしまいです。意図的に「海外では」と枠をはめ、コンセンサスに時間がかかる難しい“国民投票に絡むSNS問題”を避けているわけです。これでは、コロナ・ショックドクトリン手法です。憲法改正ウイングと歩調を合わせているだけです。実質、彼らの応援団、改憲の旗振り役を演じているとしか思えません。この議論打切りを誘導する社説には失望しました。

ネット規制と言論の自由問題は、とくに国民投票においては、避けて通れないきわめて重要なポイントだと思います。アメリカでは、政治言論などを自主規制するSNSプラットフォームの責任を免除する通信品位法(CDA)230条c項の改廃をめぐり、ツイッター社やフェースブック社など主要SNSを巻き込んで、連邦議会や言論界で熱心な議論が展開されています。CNNニューズ16号で詳しく紹介されているところです。

「言論の自由市場」を護るためには、わが国でも、この面での活発な議論は必要不可欠です。でないと、中国版ツイッターとも呼ばれるウエイボ(Weibo)や中国版ラインとも呼ばれるウイーチャット(WeChat)のように、中国の検閲当局の意のままに懐柔されるSNSとして存続するしかなくなるかもしれないからです。

この問題での日本人が大好きな“役人にお任せコース”の選択は危険だと思います。”中立的な言論保障”とかのふれこみで、役所が主役となって、“国民投票の中立”を名目に、実質SNSの官製統制に走るかもしれないからです。SNSプラットフォームに対する政府の管理、デジタル[公安調査]庁による検閲が唯一の解決策とする方向に動く可能性もあるからです。

与野党を問わず、民主主義や人権という価値観を共有できず、“政治的中立”のキャッチが言論圧殺につながるなどと夢にも思わない議員も少なくありません。やると決めた以上は一億一心、既定方針には有無を言わせないで突っ走る国柄です。国民投票法改正を急いではならない、と思います。まず「SNS規制と言論の自由」問題を時間をかけて議論し、決着させる必要があると思います。

わが国は、本当に、自由と人権を尊重する西欧型民主体制をとっているといえるのでしょうか。Yesというのであれば、一連のデジタル監視国家法案は、ゆるされないでしょう。

菅首相は、人権なんか余り感心がないタイプではないかと思います。デジタル監視国家をつくる法案を通して、中国を超える人権ゼロの国をつくろうというタイプの御仁ですから。

渡米して、香港・新疆ウイグル地区の人権状況などに懸念を表明する資格があるかどうかは疑問です。中国の人権状況にふれたとしても、ジョー・バイデンとつきあう手前、ポーズだけ・・・・ではないか、と思います。制裁が必要なのは、中国ではなく「ヨシ」その人なのかもしれません。アメリカの「ジョー」には、「ヨシ」に人権感覚を磨くように、アドバイスしてもらう必要があるのではないか、と思います。

CNNニューズの編集局には、国民投票法を素材に、SNS規制と言論の自由についての対論あるいはコメントの掲載をお願いできれば、と思います。期待しております。

                                     (一読者より)